「事務所等」の定義。3要件について根拠を交えて解説|澁谷税理士事務所

税務においては、事務所又は事業所(以下「事務所等」)を何拠点有しているかによって税額が変わりますが、この「『事務所等』に該当するのかどうかの判断」は結構難しいです。

目次

事務所等とは

定義

簡潔に言えば以下の3つの全てを備えたものが「事務所等」に該当することとされています。

  • 人的設備(雇用している従業員など)
  • 物的設備(そこで事業を行うために必要なPCやデスクなど)
  • 事業の継続性

(1) 事務所又は事業所(以下6において「事務所等」という。)とは、それが自己の所有に属する
ものであるか否かにかかわらず
、事業の必要から設けられた人的及び物的設備であって、そこで
継続して事業が行われる場所をいうものであること。この場合において事務所等において行われ
る事業は、当該個人又は法人の本来の事業の取引に関するものであることを必要とせず、本来の
事業に直接、間接に関連して行われる附随的事業であっても社会通念上そこで事業が行われてい
ると考えられるものについては、事務所等として取り扱って差し支えないものであるが、宿泊所、
従業員詰所、番小屋、監視所等で番人、小使等のほかに別に事務員を配置せず、専ら従業員の宿
泊、監視等の内部的、便宜的目的のみに供されるものは、事務所等の範囲に含まれない
ものであ
ること。
(2) 事務所等と認められるためには、その場所において行われる事業がある程度の継続性をもった
ものであることを要するから、たまたま2、3か月程度の一時的な事業の用に供する目的で設け
られる現場事務所、仮小屋等は事務所等の範囲に入らない
ものであること。

総務省HP『地方税法の施行に関する取扱いについて』 より抜粋

具体例

「自己の所有に属するものであるか否かにかかわらず」とありますので、例えばビルの一室を営業所として賃借している場合で、そこで勤務している営業マンがおり、PCやデスク、複合機など「営業活動を行うために必要な設備」が設置されていれば、それは税務上の「事務所等」に該当すると考えられます。

実務のムーブ(一例)

判断がつかない…

実務上は、例えば「外勤の従業員が頻繁に(週に何度も)立ち寄るレンタルオフィス(個室)」など、前述の3要件に当てはまりそうな当てはまらなそうな、どちらなのか判断がつかないケースもあるでしょう。

そのような場合は納税者側はどうすればいいのでしょうか。

自治体に聞いてみる?

そのレンタルオフィスが所在する自治体に問い合わせてみればいいのでは?と考える方もいると思います。

当然ですが、自治体も「納税者側の状況・実態」を全て完璧に把握しているわけではないため、温度感のようなものは教えてくれるかもしれませんが、明確に「それなら事務所等に該当しますorしません」とは言ってくれないことの方がおそらく多いと思われます。

「本店が所在する自治体の判断に従う」と答える自治体もあるため、両方に問合せた上で、(身も蓋もないですが)最終的には自己判断をすることになります。

まずは基準を設けて判断

まず納税者側が自分で「その場所を事務所等として認識しているかどうか」によって判断する必要があります。

「事務所等に該当するという整理をすると税金が増えるから『事務所等ではない』ということでいいや」という風に、「なんとなく適当に」判断するのはもちろんNGです。

「外勤従業員が、そのレンタルオフィスに立ち寄る頻度が毎週過半(月曜~金曜の5日間のうち3日)を超えるかどうかによって判断する」という様に、何かしらの合理的な判断基準を決めておくと良いと思われます(ただそれをやったとしても絶対に税務上問題ないとは言い切れない点がつらいところですが)。

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