月次決算を導入する中小企業向け。年次決算との違いやメリットを解説|澁谷税理士事務所

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月次決算でやること

月次決算は法律でやらなければならないと定められているものではありません。

「月次決算でやること」が明確に決まっているわけではないため、会社によって温度感が異なりますが、大体は以下のようなことをやります。

月次決算でやること

項目具体例
発生主義へ修正・未払費用、前払費用の計上
・未収収益、前受収益の計上
・未払金、前受金の計上
・売掛金、買掛金の計上
・社会保険料(法定福利費)の計上
消費税の確認・税区分の確認
・消費税認識の確認
・事業区分の確認
現金預金実際の残高⇔帳簿上の残高 を一致させる
仮払金・仮受金の消込内容を精査して正しい勘定科目に振替える
棚卸資産・帳簿残高との一致を確認
・月末時点の在庫数と金額を確定
重要性の大きい項目・売上高や売上原価
・給与台帳との照合
借入金・契約上の残高⇔帳簿上の残高 が一致しているか確認
(返済時、利息と元本を区別しないで計上していないか、
利息計上額が妥当かなど)
・短期借入金(1年以内)、長期借入金(1年超)の区分け
勘定科目の修正・地代家賃に旅費交通費とすべき費用が混在していたため修正
・福利厚生費に新聞図書費とすべき費用が混在していたため修正
・支払手数料に交際費とすべき費用が混在していたため修正
決算整理項目・減価償却費
・繰延資産償却、長期前払費用償却
・引当金計上
・消費税概算計上
・未払法人税等の概算計上

ここに書いてあることを全て実践するわけではなく、会社の個別事情によって省略される項目ももちろんあります。

年次決算や四半期決算との違い

種別対象要否
年次決算(本決算)12か月分(通期)必須
四半期決算3か月分(四半期)×4回任意
月次決算1か月分任意

年次決算では必要な決算整理仕訳などを全て計上しなければなりませんが、月次決算や四半期決算の場合、計上すべき決算整理仕訳も任意です。

たとえば、年次決算の場合「法人税等 1,500,000 / 未払法人税等 1,500,000」のような税金仕訳を計上しますが、特に外部(金融機関など)に見せることもなく、自身が毎月毎月、概算の税金計算なんかしなくて良いと思うのであれば、月次決算でこれを計上しなくても特に問題ありません。

また、月次決算や四半期決算の場合、仮に仕訳を間違えたとしても期中であれば修正が可能ですが、年次決算(本決算)の場合、間違えてしまった場合、確定申告や翌期の会計処理にも影響するため面倒なことになります。

メリット

本決算時に忙殺されずに済む

月次決算をおこなう場合、ひと月分の取引をひと月ごとに整理することなります。

これをおこなっていない場合、12か月分の取引を本決算時期にまとめてやらなければならなくなり忙殺されます。

「ひと月分の負担を毎月味わって分散させる」か、「12か月分の負担を短期間に一気に受ける」かの違いですが、取引量とマンパワーによっては、1~2日時間を割いただけではとても終わらないこともあります。

最悪の場合、申告期日までに終わらなかった、なんていうことも…。

より正確な月次の数字の推移を見ることができる

毎月発生主義で経理することで、多くの勘定科目を同じものさしで見ることができます。

融資の申込み時に有利

通常、金融機関に融資の申込みをするときは、直近の月次試算表を求められますが、月次決算を行っているとこれをすぐに用意できます。

月次決算を行っていない場合、バタバタしながら税理士などに依頼することになり、税理士側も急に言われて時間を確保できず、結局融資申し込み時期が後ろ倒れたり、税理士への追加報酬が生じたりしてしまいます。

売掛金などの回収状況を把握しやすくなる

現金主義のままだと、売上をあげたあとに売掛金をしっかりそれを回収できているのかが非常に分かりにくいです。

月次決算をおこない発生主義で経理を行っているとこの辺りが可視化できます。

デメリット

工数(手間)がかかる

日頃から後回しにせず、その日に生じた取引はその日中に整理しておくなどしておけばいくらかマシにはなりますが、本決算ほどでないにしてもやはりそれなりに工数がかかります。

会計(複式簿記)の知識を要する

発生主義になおすために会計の知識(複式簿記)が求められます。

こればかりは一朝一夕で習得できるものでもないので、最初は税理士のサポートの上でやっていくことが現実的です。

自計化サポート

弊所では、「自計化サポート」サービスにて、月次決算導入支援を行っております。

税務顧問契約を締結せずともご対応可能ですので、ご興味があれば以下の↓「自計化サポート」ボタンよりご参照下さい。

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