給与計算と会計処理。社会保険料や厚生年金保険料の仕訳。

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本コラムの対象者
  • 1人社長
  • 社会保険労務士へ依頼をしない方

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目次

専門家に依頼しない場合

給与計算や社保、人事労務関係のことは社会保険労務士へ相談しましょう。

もし社労士報酬が払えないという場合、ご自身で自己学習しなければなりません。

人事労務関係の業務も含めてご自身がはじめた「事業」の一部です。「よく分からないけどたぶん何とかなるだろう」のような考え方は経営者としてあるまじき行為ですので肝に銘じましょう。

社労士へ相談しない場合、最低でも以下のような書籍を通読しなければなりません。

Amazon.co.jp: 増補改訂 給与計算・年末調整の手続きがぜんぶ自分でできる本【令和6年の定額減税に対応】 : 志戸岡 豊: 本

小さな会社の給与計算・年末調整の手続きがぜんぶ自分でできる本 | 志戸岡 豊 |本 | 通販 | Amazon

会計処理の一例

前提

  • 1人社長
  • 12月決算
  • 定時株主総会開催日:3/25
  • 給与支給日:毎月20日

使用する勘定科目の例

会社によってことなりますが一般的な例を挙げます。

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項目会社負担分役員負担分
支払う給与役員給与
源泉徴収する所得税源泉税等預り金
特別徴収する住民税源泉税等預り金
健康保険料法定福利費社会保険料等預り金
厚生年金保険料法定福利費社会保険料等預り金
介護保険料法定福利費社会保険料等預り金

11/1 月初振戻

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借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
未払金38,000法定福利費(10月分概算健康保険)非課税10,000
法定福利費(10月分概算介護保険)非課税8,000
法定福利費(10月分概算厚生年金)非課税20,000

10/31月次決算整理で計上した法定福利費です。

11/20 給与支給日

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借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
役員給与(10/25-11/24分)不課税250,000未払金180,000
源泉税等預り金(所得税)5,000
源泉税等預り金(住民税)30,000
社会保険料等預り金(10月分健康保険)20,000
社会保険料等預り金(10月分介護保険)5,000
社会保険料等預り金(10月分厚生年金)10,000
未払金180,000普通預金180,000

いったん未払金計上している理由は、万が一、役員給与が支払えなかった場合においても、源泉徴収などを忘れないようにするためです。

役員給与は「いまは会社にお金がないから一旦未払でいいや」のような適当な進め方をしていると、役員給与を事業経費にできないにも関わらず役員個人においては所得税が課税されるという事態に陥るリスクがあります。

なお、役員給与は「非課税」ではなく「不課税」です。この辺りがよく分からないし自己学習するつもりもないという場合、必ず税理士へ依頼しましょう。帳簿がめちゃくちゃになるので。

No.6157 課税の対象とならないもの(不課税)の具体例|国税庁 (nta.go.jp)

11/25 社会保険料等の納付

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借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
法定福利費(10月分確定健康保険)非課税20,000普通預金70,000
法定福利費(10月分確定介護保険)非課税5,000
法定福利費(10月分確定厚生年金)非課税10,000
社会保険料等預り金(10月分健康保険)20,000
社会保険料等預り金(10月分介護保険)5,000
社会保険料等預り金(10月分厚生年金)10,000

ここで納付した金額は、11/20頃に日本年金機構から送付される『保険料納入告知額・領収済額通知書』に印字されている金額です。口座振替の方が楽なので口座振替にしましょう。

毎月、事業主の方へ送付される社会保険料(厚生年金保険料、船員保険料、健康保険料、子ども・子育て拠出金等)の納入告知書(納付書)は、1枚目が領収済通知書になっていますが、社会保険料の領収にかかるお知らせではありませんのでご注意ください。
事業主の方が納付をする際は、納入告知書(納付書)を切り離さずに金融機関に提出してください。
なお、納入告知書(納付書)は、機械処理の関係上、1.領収済通知書、2.領収控、3.納入告知書(納付書)・領収証書の順に綴ってあります。

  1. 領収済通知書
  2. 領収控
  3. 納入告知書(納付書)・領収証書

納入告知書(納付書)は、毎月20日頃に送付していますが、郵便事情によりお届けに時間がかかる場合があります。また、郵便物の転送届を提出されている事業所は、さらにお時間がかかる場合があります。納入告知書(納付書)が届かない場合は、管轄の年金事務所へ連絡し、再度発行を依頼するなどご相談をお願いします。

日本年金機構HPより抜粋

11/30 月次決算整理

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借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
法定福利費(11月分概算健康保険)非課税20,000未払金37,000
法定福利費(11月分概算介護保険)非課税7,000
法定福利費(11月分概算厚生年金)非課税10,000

ちなみに、この概算額は11/20頃に日本年金機構から届いた『保険料納入告知額・領収済額通知書』に印字されている10月分確定額(11/25納付済み分)を根拠資料として、仮で使用することもあります。この37,000円は10月に帰属する分ですが、11/30時点においては11月分の根拠資料がまだ届いていない(12/20頃にならなければ届かない)ためです。期中決算整理においてはこのようにラフな計上のしかたをする場合もあります。

このあたりは企業によって異なるでしょう。

12/31 年次決算整理

1/20頃に12月分の「社会保険料の納入告知書」が届くため、これが届いてから「12月分社会保険料の確定額」を把握し、年次決算整理仕訳に取り込みます。

これで、通年で見れば正確な法定福利費が計上されていることとなります。

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借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
法定福利費(12月分確定健康保険)非課税20,000未払金38,000
法定福利費(12月分確定介護保険)非課税8,000
法定福利費(12月分確定厚生年金)非課税10,000
(社会保険料の損金算入の時期)

9-3-2 法人が納付する次に掲げる保険料等の額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、当該保険料等の額の計算の対象となった月の末日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。(一部省略)

(1) 健康保険法第155条《保険料》又は厚生年金保険法第81条《保険料》の規定により徴収される保険料

(2) 旧効力厚生年金保険法第138条《掛金》の規定により徴収される掛金(同条第5項《設立事業所の減少に係る掛金の一括徴収》又は第6項《解散時の掛金の一括徴収》の規定により徴収される掛金を除く。)又は同法第140条《徴収金》の規定により徴収される徴収金

(注) 同法第138条第5項又は第6項の規定により徴収される掛金については、納付義務の確定した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

(労働保険料の損金算入の時期等)

9-3-3 法人が、労働保険の保険料の徴収等に関する法律第15条《概算保険料の納付》の規定によって納付する概算保険料の額又は同法第19条《確定保険料》の規定によって納付し、又は充当若しくは還付を受ける確定保険料に係る過不足額の損金算入の時期等については、次による。(昭55年直法2-15「十三」により追加)

(1) 概算保険料 概算保険料の額のうち、被保険者が負担すべき部分の金額は立替金等とし、その他の部分の金額は当該概算保険料に係る同法第15条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第3項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。

(2) 確定保険料に係る不足額 概算保険料の額が確定保険料の額に満たない場合のその不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額は、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)又はこれを納付した日の属する事業年度の損金の額に算入する。ただし、当該事業年度終了の日以前に終了した同法第2条第4項《定義》に規定する保険年度に係る確定保険料について生じた不足額のうち当該法人が負担すべき部分の金額については、当該申告書の提出前であっても、これを未払金に計上することができるものとする。

(3) 確定保険料に係る超過額 概算保険料の額が確定保険料の額を超える場合のその超える部分の金額のうち当該法人が負担した概算保険料の額に係る部分の金額については、同法第19条第1項に規定する申告書を提出した日(同条第4項に規定する決定に係る金額については、その決定のあった日)の属する事業年度の益金の額に算入する。

第3節 保険料等|国税庁より抜粋

社会保険料の損金算入時期について|国税庁 (nta.go.jp)

まとめ

法人を運営していく中で専門家へ依頼しないという選択肢を取った場合、「ご自身で自己学習しなければならない」がセットでついてきます。

心配であれば、社労士へ相談することを強くお勧めします。

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