法人のスポット決算申告依頼が危険な理由をBIG4出身税理士が解説

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創業1期目の法人では、「まだ売上規模が小さいから税務顧問は不要」「決算申告だけ税理士に依頼すれば十分」と考える経営者の方も少なくありません。

しかし、法人税申告は単なる「1年間の数字を税務申告書にまとめる作業」ではありません。

特に創業初年度は、今後の会社運営に影響する税務上の判断が数多く発生します。決算間際にスポットで税理士へ依頼すると、すでに選択肢が限られていたり、本来できた節税やリスク回避ができなかったりするケースがあります。

この記事では、BIG4(世界4大会計事務所)出身税理士が、法人のスポット決算申告依頼が危険な理由について解説します。

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目次

創業1期目でも税務顧問契約を検討すべき理由

創業直後は売上や利益がまだ少なく、「税理士との顧問契約は必要ない」と考える方も多いです。

確かに、取引量が少なく、税務判断がほとんど発生しない法人であれば、スポット申告が合理的な場合もあります。しかし、創業1期目の法人では、以下のような重要な税務判断が発生します。

  • 消費税の課税事業者になるタイミング
  • インボイス制度への対応
  • 役員報酬の設定額
  • 設備投資や経費計上の判断
  • 交際費や福利厚生費などの税務処理

これらは決算申告時に初めて確認しても、すでに変更できないものがあります。税務顧問の価値は、申告書を作成することだけではありません。経営判断のタイミングで税務上の選択肢を提示できる点にあります。

税理士報酬をインフラ維持費として考える必要性

税務顧問料を「何か作業をしてもらった対価」と考えると、不要に感じるかもしれません。しかし、税理士顧問契約の本質は、必要なときに相談できる税務インフラを維持することです。

例えば、会社経営では以下のような判断が日常的に発生します。

  • この設備投資は今期に実施すべきか
  • 役員報酬はいくらに設定すべきか
  • 利益が出そうだが、どのような決算対策ができるか

これらは、決算書を作成する段階ではなく、意思決定する段階で相談することに意味があります。税務顧問契約とは、単なる記帳代行や申告作業への支払いではなく、経営判断のための専門家へのアクセス権を確保するものです。

10時間の手術を無理やり1時間で行う状態

決算直前に初めて税理士へ依頼する場合、税理士側が確認できる情報には限界があります。例えば、法人設立から決算までの間に以下のような確認が必要になります。

  • 取引内容の把握
  • 会計処理の確認
  • 契約内容の確認
  • 役員報酬設定の確認
  • 消費税選択の確認
  • 税務上のリスク確認

本来であれば、1年間を通じて確認すべき事項を、決算直前の短期間で確認することになります。

これは、例えるなら本来10時間かけて診断や準備を行う手術を、1時間で実施しようとしているような状態です。もちろん、スポット申告でも適正な申告書作成は可能です。

しかし、「本来できたはずの税務判断」が時間的制約によってできなくなる可能性があります。

消費税の課税方式を検討できないリスク

創業法人にとって、消費税の判断は特に重要です。法人設立後は、一定の条件を満たす場合に消費税の免税事業者となる可能性があります。

一方で、インボイス制度開始後は、取引先との関係から課税事業者を選択するケースもあります。また、課税事業者になる場合でも、消費税の計算方法には複数の選択肢があります。

例えば、簡易課税制度を利用できる場合、原則課税と比較して納税額が有利になるケースがあります。しかし、これらの判断には期限があります。

決算申告時に初めて税理士へ相談しても、すでに届出期限を過ぎている場合があります。

決算前の節税対策が実施できない問題

決算申告を依頼するだけの場合、税理士が関与する時期は通常、決算終了後になります。

しかし、税務上の対策の多くは決算前に実施する必要があります。例えば、以下のようなものがあります。

・必要な設備投資の判断
・役員報酬変更の検討
・経費計上時期の確認
・固定資産計上の判断
・各種制度利用の検討

決算が終了した後では、利益額を見ながら実施できる対策は大きく制限されます。税務申告は「終わった1年間の処理」ですが、税務対策は「終わる前の判断」が重要です。

税理士難民とは?

税理士難民とは、「依頼先税理士が見つからない状態」を指します。税理士事務所は既存の顧問先の方々を常に優先する必要があるため、スポットの依頼の方は必然的に後回しとなります。

スポットで決算申告を依頼する場合、毎年税理士を探す必要が発生します。その結果、以下のような問題が起こることがあります。

・会社の経営状況を継続的に理解している税理士がいない
・過去の処理方針を踏まえた判断ができない
・決算時期に依頼できる税理士が見つからない
・税務相談をする相手がいない

特に、事業が成長して取引量が増えた段階では、創業初期から会社の状況を把握している税理士がいることは大きなメリットになります。

税理士は、申告書を作成するだけの存在ではありません。会社の成長段階に応じて、税務上のリスクや選択肢を整理する役割があります。

よくある質問

創業1年目で売上が少なくても税務顧問は必要ですか?

税務顧問を付けることが望ましいです。

売上げが小なくとも必ずおこなわなければならない税務タスクはたくさんありますが、これをご自身でやるのは非現実的であるためです。

個人事業主ではありませんので、「売上が少ないから」という点はあまり関係ありません。

決算申告だけ税理士へ依頼することはできますか?

可能ですが、受任してもらえる税理士を探すのに多少苦労する可能性が高いです。優良な税理士事務所は通常、顧問先の方々を最優先にし、顧問先の方々へ提供するサービスの質が落ちないように気を付けるため、スポット決算申告は断る傾向にあります。

また、決算申告のみの場合、税理士が確認できるのは基本的に決算時点の情報になります。相談業務などは対象外となるのが一般的です。

年間を通じた税務判断や決算前の対策については、対応できる範囲が限られます。

税務顧問料を払うメリットは何ですか?

メリットというより、ビジネスを営む上でのインフラ維持費のようなものです。

申告書作成だけではなく、経営判断に伴う税務リスクを事前に確認できる点に価値があります。

法人設立直後から税理士へ依頼するメリットはありますか?

あります。

創業直後に税務処理の方向性を決めておくことで、後から修正が必要になるリスクを減らせます。

また、会社規模が小さい段階から事業内容や経営方針を理解している税理士であれば、成長段階に応じた税務対応が可能になります。

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この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【取引金融機関】日本政策金融公庫、GMOあおぞらネット銀行

■資格・認定■
税理士(登録番号150781)
政治資金監査人(登録番号6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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