オンラインスクール(サロン)運営事業で起業。税務のポイントを解説

当ページのリンクには広告が含まれています。

\ 契約前にサービス内容や料金を確認! /

目次

オンラインスクール市場

動画配信プラットフォームやライブ配信ツール、『ストアカ』などの普及により、資格取得なしに個人のスキルや専門知識を収益化できるオンラインスクール(オンラインサロン)事業は、近年新規法人設立の主要な業態のひとつになっているようです。

初期投資を抑えて始められる一方で、売上の計上時期、海外向け販売時の消費税、コンテンツ制作費の会計処理、講師への支払いなど、他業種とは異なる論点が集中する業態でもあります。

これらは創業初年度の申告や税務調査で指摘を受けやすいポイントでもあるため、事業を始める前、あるいは初回の決算を迎える前に税理士と相談の上、整理しておくことをおすすめします。

  • 昔はなかった業種こそ要注意。

売上計上のタイミング

売上げは適当に計上してはNG

税務上、売上の計上時期は厳格なルールがあります。入金されたタイミングで適当に売上計上するなどはNGです。

オンラインスクール(サロン)運営事業など、昔は無かったビジネス形態こそ、最初の決算申告時期が到来する前に、顧問税理士と相談のうえ、どのタイミングで売上計上することが妥当なのか、見極めましょう。

動画買い切り型

一般的には、「購入者が動画を視聴できる状態になった時」で、販売時に売上計上します。

分割払いの契約であっても、購入者が視聴できるのであれば、代金回収時期とは切り離して売上計上する必要があります。

サブスクリプション型

契約期間にわたって継続的にコンテンツやコミュニティへのアクセスを提供する契約であるため、一般的には、期間に応じて売上計上してゆきます。たとえば、4月分の月額料金は4月分の売上として計上します。

先に売上代金を受講生から受領している場合は「前受金」としていったん計上し、期間の経過に応じて按分して売上に振り替えることが一般的です。年払いを一括受領した場合でも、受領時点で全額を売上計上することはしません。

ライブ配信型

一般的には、配信(役務提供)が完了した時点で売上を計上します。事前に代金を受領していても、配信実施前であれば前受金として扱います。

海外の受講生に販売するとき

オンラインスクールを海外在住者にも販売する場合、消費税の取扱いが国内向け販売と異なります。インターネットを介した講座配信やダウンロード販売は「電気通信利用役務の提供」に該当し、この類型に限り、消費税の課税対象となる国内取引かどうかの判定(内外判定)は、役務の提供を受ける者(顧客)の住所地等が国内か国外かによって行われます。

そのため、日本の法人が海外に住所を有する消費者に対してオンライン講座を提供する取引は「国外取引」に該当し、消費税は不課税(課税対象外)となります。これは輸出免税とは異なる整理であり、輸出証明書の保存等は要件になりません。ただし、顧客の住所地の判定は、会員登録情報や決済に使用されたクレジットカードの発行国情報など、客観的かつ合理的な方法で確認・記録しておく必要があります。判定根拠を残していないと、税務調査時に国内取引と認定されるリスクがあるため注意が必要です。

なお、これは「日本の事業者が海外の消費者に販売する」ケースの整理であり、逆に海外の事業者が提供するツールやサービス(広告配信、SaaS利用料等)を自社が受ける場合は、リバースチャージ方式や仕入税額控除の制限など別の論点が生じます。海外の決済代行会社やプラットフォームを利用している場合は、自社がどちら側の立場にあるかを取引ごとに確認する必要があります。

よくあるミス
  • 海外取引は慎重にならなければならないことを認識せずに適当に進めてしまった。

コンテンツ制作費が「経費」にならないケース

講座動画の撮影・編集費用やテキスト教材の制作費は、支出した事業年度に全額を経費(損金)として計上できると考えがちですが、税務上はそう単純ではありません。

法人税法上、支出の効果がその支出の日以後1年以上に及ぶ費用のうち、特定の資産(ソフトウエア等)に該当しないものは「繰延資産」として、その効果が及ぶ期間にわたって償却する必要があります。

一度制作すれば数年間にわたり繰り返し販売・配信できる講座動画のコンテンツ制作費は、この「支出の効果が1年以上に及ぶ費用」に該当し得るため、内容によっては制作費全額を即時に経費計上できず、繰延資産として資産計上したうえで、合理的に見積もった効果の及ぶ期間で償却しなければならない可能性があります。

一方で、単発のライブ配信のための準備費用のように、その回限りで効果が完結する支出であれば、通常の経費として処理できると考えられます。「その支出が将来にわたって収益を生み続けるものかどうか」が判断の分かれ目になるため、コンテンツ制作費が高額になる場合は、支出の性質を個別に確認し、資産計上の要否と償却期間を検討することをおすすめします。

講師への支払いで発生する源泉徴収義務

契約形態一般的な呼称源泉徴収
雇用雇用契約必要
請負業務委託契約必要
準委任

外部講師にオンライン講座への出演や監修を依頼する場合、契約形態を業務委託にしても源泉徴収義務がなくなるわけではありません。

所得税法では、原稿料・講演料に加えて「技芸、スポーツ、知識等の教授・指導料」が源泉徴収の対象として明記されています。オンライン講座での講義・指導に対する報酬は、この類型に該当する可能性が非常に高く、支払時に所得税および復興特別所得税(原則10.21%、100万円を超える部分は20.42%)を源泉徴収し、翌月10日までに納付する義務が生じます。

「謝礼」「監修料」など名目を変えても、実態が指導・教授に対する対価であれば源泉徴収の対象となる点に注意が必要です。

あわせて重要なのが、講師との契約が実質的に「雇用」なのか「業務委託」なのかの判定です。稼働時間や進め方について指揮命令を行っている、時間単位で管理し場所も指定しているなど、実態が雇用契約に近い場合は、契約書の名目にかかわらず給与所得として扱われ、社会保険加入義務や源泉徴収事務の進め方が異なってきます。創業期は講師の稼働形態が流動的になりやすいため、契約時点で業務委託か雇用かを明確に整理しておくことが望まれます。

電子帳簿保存法への対応が不可欠な業態

オンラインスクール事業は、決済代行会社からの取引明細、クレジットカード利用明細、電子契約サービスでの講師との契約書、メールで受領する請求書・領収書など、取引の大半が電子データでやり取りされる業態です。

これらは電子帳簿保存法上の「電子取引」に該当し、令和6年1月1日以降、紙に印刷して保存する方法は原則として認められず、一定の要件を満たした状態で電子データのまま保存することが義務付けられています。

保存要件に従って電子データを保存できなかったことについて所轄税務署長が「相当の理由」があると認める場合には、当分の間、データの提示・提出に応じられることを前提に猶予措置が認められていますが、無制限に認められるわけではありません。事前に顧問税理士に、認められるケースかどうかを確認しましょう。

よくある質問

受講料を年払いで一括受領した場合、消費税もその期にまとめて課税されますか。

サブスク型で期間対応させて売上計上する場合、消費税もその課税資産の譲渡等の時期に合わせて按分して認識するのが原則です。

全額を受領時点で課税売上に計上する処理は、法人税・消費税双方の処理と整合しない可能性があるため注意してください。

海外向け販売分は消費税はどう扱えばよいですか。

国外取引(不課税取引)に該当する売上は、課税売上割合の計算における分母・分子のいずれにも通常含めません。

簡易課税や課税売上割合に応じた仕入税額控除の計算に影響するため、記帳段階で国内向けと海外向けの売上を区分管理しておく必要があります。

これは非税理士の方が少し調べて解決するような内容ではないので、必ず顧問税理士へご相談ください。

コンテンツ制作を外注した場合、外注先への支払いにも源泉徴収は必要ですか。

外注先が個人事業主であり、その業務内容が原稿執筆やデザイン制作、技芸の指導など一定の業務に該当する場合は源泉徴収が必要です。

法人への外注であれば源泉徴収は不要です。

オンラインスクール(サロン)運営事業が税務調査で指摘されそうなテーマは?

売上計上時期が妥当かどうか、コンテンツ制作に要した費用のうち資産計上が必要なものを一括して経費計上していないかどうか、業務委託先講師について適切に源泉徴収事務ができているか、業務委託先講師のことをまるで従業員のように扱っていないかどうか、などのテーマが指摘事項として想定されます。

ご自身の会計や税務について、「自分の場合はどのように進めるべき?」とお悩みの方は、まずは弊所サービス内容をご確認いただき、無料WEB面談をご予約下さいませ。

\ サービス範囲や料金を契約前に確認! /

免責事項

当サイト内の情報をご利用を以て、以下へご承諾とさせて頂きます。

  • 当サイト内の情報は正確性等を高めるよう努めておりますが、その内容に対して何らかの保証をするものではございません。
  • 当サイト内の情報(第三者から提供された情報も含む。)をご利用頂いたことにより損害等が生じた場合でも、当サイト管理者は一切責任を負いかねます。
  • 当サイト内のコラムは弊所の私見です。
  • 当サイト内のコラムはその執筆時点における法令等の情報に基づき整理したものです。必ずご自身で最新の法令等の情報をご確認下さい。
  • 当サイト内の情報の無断転載等は固く禁じます。

この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【取引金融機関】日本政策金融公庫、GMOあおぞらネット銀行

■資格・認定■
税理士(登録番号150781)
政治資金監査人(登録番号6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

目次