「税金を払った方がキャッシュが残る」ってどういうこと?

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「税金を払った方がキャッシュが残る」

聞いたことがある方もいるかと思いますが、「何だか騙されているような気分(?)だな」と感じた方もいるのではないでしょうか。これは「金は天下の回り物」ような話でもスピリチュアルな話でもなく、単なる足し算・引き算・掛け算の簡単な話です。

税金を払うと現預金(キャッシュ)が残る、とはどういう状態のことなのか解説してゆきます。

「利益」に課税される

ほとんどの税金は「利益」に対して課されます(そうでない税金もありますが本コラムでは割愛します)。一般的に「(税務上認められる)費用を増やせば節税になる」と言われるのは、「費用」が増えれば「利益」が減るためです。

しかし、そもそも目的は「順調に事業活動すること」であって「節税すること」ではないはずです。次項で簡単なシミュレーションしてゆきます。

シミュレーション

項目何もしない場合節税した場合※1脱税した場合※2
収益1,0001,0001,000
費用▲200▲700▲700
利益800300300
税率30%30%30%
税金(30%)▲240▲90▲90
ペナルティ(40%)▲200
追加税理士報酬※3▲30
キャッシュ残560210▲20
  • 1 節税≒事業経費として認められるものを多めに計上した状態
  • 2 脱税≒事業経費として認められないものを不正に計上した状態。意図せず脱税状態行為自体は認識していたが、その行為が法的に問題ありということを知らなかった、というケースなど)になっている場合も含む
  • 3 税務調査立会い料金や修正申告料金などの追加税理士報酬など。脱税の場合、金銭面以外にも「本業どころではなくなるほど時間を失う」「金融機関や取引先、従業員が離散する」など、数字で可視化できないダメージが無数に発生します。

節税のために費用を多く支出したせいで現預金が210しか残らないこととなります。使える税制はもちろん堂々と使ってゆくとして、それとは別の話としてそもそも「無駄遣いしない」「本業の売上を上げる努力をする」という、当たり前のことを当たり前にやるということが大切です。「何もしなかった場合」の税金240は、いわば「日本の経済システムの使用料」(ショバ代)です。

「300万円ディスカウントの広告(節税)につられて、必要ないにも関わらず、定価1,000万円の社用車を購入してしまった(700万円の無駄遣い)状態」という本末転倒状態に陥らないようご注意ください。

また、架空の経費を計上するなど、誰が見てもNG行為だとわかることをしてまで、脱税(犯罪)しようとする人はいませんが、「結果的に法的に問題のある行為をしてしまった」のようなケースでも脱税認定されることもございます。「スーパーのセルフレジで、考え事をしながら会計を済ませようとしていたら、誤ってバーコード読み取り前の商品を袋に詰めてお店を出てしまい、謝罪も受け入れてもらえず、万引き犯として確定された」のようなことも起き得る点が、税金の世界の恐ろしいところです。おかしなところで足元をすくわれないよう、しっかりした税務体制を一緒に構築してゆきましょう。

意思決定がまず大切

小規模事業者さま・大規模事業者さま問わず、常いかなるときも、以下の順序でお考え下さい。

  • 経営判断や意思決定(例:人手が足りないから増員したい)
  • 経済活動発生(例:従業員を雇用して人件費を支払う)
  • 税務上の取扱い(例:人件費を事業経費へ算入)

③ありきで①の意思決定を変更すると、事業や経営がどんどん歪んでゆきます。前述のシミュレーション表もその典型例です。この順番を常に念頭に置きましょう。

フローの視点<ストックの視点

区分確認する資料具体例
フローの視点損益計算書・「売上が●●円入金された」
・「経費を●●円払った」
・「税金を●●円払った」
・家計簿のようなイメージ
ストックの視点貸借対照表・「キャッシュがどれほど貯まったか」
・「換金性のある資産がどれほどあるか」

フローの視点のみの場合、いわば目先のことに一喜一憂している状態です。

もちろん、フローありきのストックですので、フローがどうでも良いということではありませんが、長く続く事業者さまは必ず後者の視点を持っています。前述のシミュレーション表の「節税した場合」は、フローの視点だけに捉われてしまっている典型例です。

会社員の副業であればフローの視点だけでもさほど問題にはなりませんが、「事業として」活動するのであれば、必ずストックの視点を持ちましょう。

金融機関や取引先からの印象

金融機関や取引先は、以下が問題なければ「この事業者は健全だから大丈夫そうだ」という判断をします。

  • 利益がしっかり出ていること
  • キャッシュが潤沢にあること

「節税」はこの2つの逆を行く行為だということを忘れないようにしましょう。ちなみに、取引先は帝国データバンクなどを活用して、相手企業の業績を調べている可能性があります。

納税額=信用力

法人であれば損益計算書(PL)の下の方に計上されている「法人税等」が、個人事業主の方であれば所得税確定申告書の第一表に記載されている税額が、「信用力」を対外的に示す広告とも言えます。納税額からは以下の情報を読み取ることができるためです。

納税額から読み取れる情報
  • 事業が順調であること
  • 安心して取引できる事業者であること
  • 誠実な事業者であること

法人であれば融資などの際に、個人事業主であれば賃借やローンを組む際などに、これらの指標が重要になってきます。納税額のことを「取られたお金」として考えてしまうと事業基盤がなかなか固まりませんので、「金融機関や見込み顧客、従業員などの利害関係者に対して信用力をアピールするための指標」とお考え下さいませ。

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