個人事業主・フリーランス必見。「事業所得」と「業務に係る雑所得」|澁谷税理士事務所

個人事業一本で生計を立てている方は別ですが、副業が一般的になった時代で、給与所得を得ながら副業をやったり、メインの収入源が別でありながら副業をしたり、という方も増えています。

ただ、何でもかんでも事業所得として認められるわけではないため、自分が得ている収入の所得区分が何なのかの判定を誤らないようにする必要があります。

目次

結論

区分項目判定
社会通念で検討社会通念上、事業所得に該当事業所得
上記以外業務に係る雑所得
きちんと記帳と帳簿保管をしている下記以外事業所得の場合が多い
概ね3年程度の期間で、収入が300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満業務に係る雑所得かどうか個別判定
例年赤字
+
収入を増加させるなどの営業活動等をしていない

まとめるとこんな感じです。

根拠を以下で解説します。

社会通念により判定する

35-2 次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。(平元直所3-14、直法6-9、直資3-8、令4課個2-21、課資3-10、課審5-13改正)

(1) 動産(法第26条第1項《不動産所得》に規定する船舶及び航空機を除く。)の貸付けによる所得

(2) 工業所有権の使用料(専用実施権の設定等により一時に受ける対価を含む。)に係る所得

(3) 温泉を利用する権利の設定による所得

(4) 原稿、さし絵、作曲、レコードの吹き込み若しくはデザインの報酬、放送謝金、著作権の使用料又は講演料等に係る所得

(5) 採石権、鉱業権の貸付けによる所得

(6) 金銭の貸付けによる所得

(7) 営利を目的として継続的に行う資産の譲渡から生ずる所得

(8) 保有期間が5年以内の山林の伐採又は譲渡による所得

(注) 事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する。
 なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。

所得税基本通達 より

具体的には以下の判示があります。

3 本通達の(注)の前段では、「事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する」という取扱いを明らかにしています。
この社会通念による判定について、最判昭和 56 年4月 24 日では、「事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」と判示しています。
また、東京地判昭和 48 年7月 18 日では、「いわゆる事業にあたるかどうかは、結局、一般社会通念によって決めるほかないが、これを決めるにあたっては営利性・有償性の有無、継続性・反復性の有無、自己の危険と計算における企画遂行性の有無、その取引に費した精神的あるいは肉体的労力の程度、人的・物的設備の有無、その取引の目的、その者の職歴・社会的地位・生活状況などの諸点が検討されるべきである」と判示しています。
したがって、その所得を得るための活動が事業に該当するかどうかについて、社会通念によって判定する場合には、上記判決に示された諸点を総合勘案して判定することとなります。

国税庁資料より

ざっくりかみ砕くと以下の様な内容です。

  • 利益獲得目的で活動している
  • 有償で活動している
  • スポットではなく継続・反復して活動する意思がある
  • 自身でリスクを負って自力で経営している
  • その活動のために精神的・肉体的労力を費やしている
  • その活動のために人を雇用したり設備を整えたりしている
  • 相応の職歴や地位がある
  • その活動で生計を立てようとしている

もう少し具体的に

4 本通達の(注)の後段では、「その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合(その所得に係る収入金額が 300 万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。」としています。
事業所得と業務に係る雑所得の区分については、上記の判例に基づき、社会通念で判定することが原則ですが、その所得に係る取引を帳簿書類に記録し、かつ、記録した帳簿書類を保存している場合には、その所得を得る活動について、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有し、社会通念での判定において、事業所得に区分される場合が多いと考えられます。

 
(注)その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存している場合であっても、次のような場合には、事業と認められるかどうかを個別に判断することとなります。
① その所得の収入金額が僅少と認められる場合
例えば、その所得の収入金額が、例年、300 万円以下で主たる収入に対する割合が 10%未満の場合は、「僅少と認められる場合」に該当すると考えられます。
「例年」とは、概ね3年程度の期間をいいます。
② その所得を得る活動に営利性が認められない場合
その所得が例年赤字で、かつ赤字を解消するための取組を実施していない場合は、「営利性が認められない場合」に該当すると考えられます
「赤字を解消するための取組を実施していない」とは、収入を増加させる、あるいは所得を黒字にするための営業活動等を実施していない場合をいいます。

 
他方で、その所得に係る取引を帳簿に記録していない場合や記録していても保存していない場合には、一般的に、営利性、継続性、企画遂行性を有しているとは認め難く、また、事業所得者に義務付けられた記帳や帳簿書類の保存が行われていない点を考慮すると、社会通念での判定において、原則として、事業所得に区分されないものと考えられます。
ただし、その所得を得るための活動が、収入金額 300 万円を超えるような規模で行っている場合には、帳簿書類の保存がない事実のみで、所得区分を判定せず、事業所得と認められる事実がある場合には、事業所得と取り扱うこととしています。
(注)令和2年度の税制改正では、業務に係る雑所得について、前々年の収入金額が 300 万円を超える場合には、取引に関する書類の保存を義務付ける改正が行われたところです。
本通達の「収入金額 300 万円」については、上記の改正において、収入金額 300 万円以下の小規模な業務を行う方について、取引に関する書類の保存を求めないこととされたことを踏まえたものです。

国税庁資料より

参考元情報

02.pdf (nta.go.jp)

法第35条《雑所得》関係|国税庁 (nta.go.jp)

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