家事代行サービスを個人事業で始めると、お客様宅への交通費や、洗剤・掃除機などの道具代が経費になるのか迷う方は少なくありません。
家事代行は自分の家の家事と重なる部分が多く、仕事用と私用の区別がつきにくい仕事です。
この記事では、家事代行を個人で開業した方や開業を検討している方に向けて、交通費や道具代が経費になるかどうかの判断基準と、働き方によって扱いが変わる点を説明します。
家事代行の経費になるかどうか
| 区分 | 説明 | 経費 |
|---|---|---|
| 家事費 | 100%プライベートに係る経費 | NG |
| 必要経費 | 100%事業に係る経費 | OK |
| 家事関連費 | 家事費と必要経費の両方の側面がある経費 | 原則:全額NG 特例:区分できた部分だけOK |
- 個人事業や副業としての活動を開始すれば、生活費やプライベート経費も、必要経費として計上できると誤認している。
- 家事関連費は原則、全額必要経費に算入できず、特例として一定の場合にのみ、事業に関する部分だけ算入できるということを知らなかった。
家事代行の支出が経費になるかどうかは、「家事代行の仕事のために必要な支出か」「私用の分と区分できるか」の2点で判断します。
家事代行は自分の家の家事と内容が似ているため、掃除道具や自家用車など、仕事と私生活の両方で使うものが多くなりがちです。
仕事と私用の両方にかかる支出は「家事関連費(仕事と生活の両方にかかる費用)」と呼ばれます。家事関連費は、仕事に使った部分を明確に区分できる場合に限り、その部分だけを経費にできます。
交通費が経費になるケースとならないケース
お客様宅への移動にかかる電車代・バス代
自宅からお客様宅へ向かう電車代やバス代は、仕事のための移動として経費にできます。お客様宅から次のお客様宅へ移動するときの交通費も同じです。
大切なのは、日付・区間・金額・訪問先を記録しておくことです。交通系ICカードで支払う場合は、利用履歴を保存し、どの移動がどのお客様への訪問なのかを後から説明できるようにしておきます。
自家用車のガソリン代や駐車場代
自家用車でお客様宅を回る場合、ガソリン代・自動車保険料・車検費用などは、仕事で使った割合に応じて経費にできます。
仕事で使った割合は、走行距離の記録などをもとに決めます。「なんとなく半分」のように根拠のない割合にすると、税務調査で説明できず、経費として認められない可能性があります。
訪問時にお客様宅の近くのコインパーキングに支払った駐車料金は、仕事のためだけの支出なので、全額を経費にできます。
お客様から交通費を受け取っている場合
お客様から交通費を別に受け取っている場合、受け取った交通費は売上に含めます。そのうえで、実際に支払った交通費を経費として記帳します。
受け取った交通費と支払った交通費を差し引きして、どちらも記帳しない処理はNGです。売上が実際より少なく記録され、消費税の納税義務の判定などで、売上を正しく把握できなくなるためです。
掃除道具・洗剤などの道具代の扱い
お客様の道具を使う場合と自分で持参する場合
自分で購入してお客様宅に持参して、仕事のためだけに使用する洗剤や掃除道具は、経費にできます。家事代行では、お客様宅の掃除機や洗剤を使う決まりのサービスと、スタッフが道具を持参するサービスがあります。
お客様の道具を使う契約になっているのに、自分で買った道具を「仕事用」として経費に入れることはNGです。これはグレーではなく完全なブラックですので、純然な脱税に該当します。まずは契約書や利用規約で、道具を誰が用意する決まりなのかを確認してください。
自宅の掃除と兼用している道具
仕事用に買った洗剤やスポンジを自宅の掃除にも使っている場合、全額を経費にすることはできません。仕事で使った分を区分する必要があります。
といっても、そもそもこのような消耗品を区分することは現実的に不可能です。そのため、「自分のプライベート用の用具代も経費計上できるかもしれない」という考え方自体、絶対に辞めましょう。
区分の手間を減らすには、仕事用と自宅用の道具を分けて購入・保管するのが確実です。
10万円以上の掃除機などを買った場合
1個(1組)あたり10万円未満の道具は、購入した年に全額を経費にできます。一方、10万円以上のものは「減価償却(何年かに分けて経費にする処理)」の対象となり、購入した年に全額を経費にすることはできません。
一定の要件を満たす場合は、10万円超のものを購入した年に全額経費にできる特例もあります。詳細は税理士へ確認sましょう。
経費にできるか迷ったときの確認事項
経費にできるかどうか迷ったときは、次の3点を確認します。
- 契約書や利用規約で、道具代や交通費を誰が負担する決まりになっているか
- 仕事と私用の両方に使うものについて、仕事で使った割合を説明できる記録があるか
- 雇用契約か業務委託契約か、業務委託であれば契約の相手は誰か
家事代行は、契約の形や働き方によって、経費の範囲や使える特例が変わる仕事です。同じ交通費や道具代でも、契約内容や記録の残し方によって結論が分かれます。
開業の早い段階で「自分のケースにはどの判断基準が当てはまるのか」「何を記録しておけばよいのか」を整理しておくと、確定申告の時期に慌てずに済みます。判断に迷う点があれば、スポット相談も承っております。
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