配当とみなされる行為。配当はしないので自分には関係ないという方へ

本コラムは以下のような方を対象としています。

  • 1人社長の法人
  • 役員報酬は設定しているが配当はしない事業者

純然な税理士からすれば王道中の王道のテーマですが、税務の世界では『みなし配当』と呼ばれる行為が存在します。

目次

みなし配当とは

名前の通り、『税務上は』配当とみなす行為のことです。以下のようなイベントが生じると、みなし配当が生じる可能性があります。したがって、これらのイベントは必ずご自身の顧問税理士に共有しなければなりません。

  • 非適格合併
  • 非適格分割型分割
  • 非適格株式分配
  • 資本の払戻し
  • 解散による残余財産の分配
  • 自己株式又は出資の取得(市場購入によるものを除く)
  • 出資の消却、出資の払戻し、社員等の退社又は脱退による持ち分の払戻しなど
  • 組織変更(合同会社⇒株式会社など)

(配当等の額とみなす金額)
第二十四条
 法人(公益法人等及び人格のない社団等を除く。以下この条において同じ。)の株主等である内国法人が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(適格現物分配に係る資産にあつては、当該法人のその交付の直前の当該資産の帳簿価額に相当する金額)の合計額が当該法人の資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額は、第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなす
一 合併(適格合併を除く。)
二 分割型分割(適格分割型分割を除く。)
三 株式分配(適格株式分配を除く。)
四 資本の払戻し(剰余金の配当(資本剰余金の額の減少に伴うものに限る。)のうち分割型分割によるもの及び株式分配以外のもの並びに出資等減少分配をいう。)又は解散による残余財産の分配
五 自己の株式又は出資の取得(金融商品取引法第二条第十六項(定義)に規定する金融商品取引所の開設する市場における購入による取得その他の政令で定める取得及び第六十一条の二第十四項第一号から第三号まで(有価証券の譲渡益又は譲渡損の益金又は損金算入)に掲げる株式又は出資の同項に規定する場合に該当する場合における取得を除く。)
六 出資の消却(取得した出資について行うものを除く。)、出資の払戻し、社員その他法人の出資者の退社又は脱退による持分の払戻しその他株式又は出資をその発行した法人が取得することなく消滅させること。
七 組織変更(当該組織変更に際して当該組織変更をした法人の株式又は出資以外の資産を交付したものに限る。)

法人税法より

源泉徴収する

みなし配当をした側(法人)は源泉徴収が必要です。

所得税法上の「配当所得」には源泉徴収が必要ですが、「みなし配当」も「配当所得」に含まれるためです。

(配当等とみなす金額)
第二十五条
 法人(一部省略)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(一部省略)の合計額が当該法人の同条第十六号に規定する資本金等の額のうちその交付の基因となつた当該法人の株式又は出資に対応する部分の金額を超えるときは、この法律の規定の適用については、その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第一項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。

所得税法より

受取配当等の益金不算入

みなし配当も「受取配当等の益金不算入」規定の対象です。これが何の規定なのかはここでは割愛します。

テクニカルな部分なので、適切な情報や資料を顧問税理士に提供して任せておけばOKです。

みなし配当された側

通常は所得税法上『配当所得』とします。

が、以下のような場合はみなし配当所得ではなく、譲渡対価全額が譲渡所得に係る収入となります。

  • 相続又は遺贈により財産を取得して相続税を課された
  • 相続開始日の翌日から3年10か月以内に、相続税の課税対象となった非上場株式をその発行会社に対して譲渡
  • その他一定の要件を満たす

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