本コラムは以下のような方を対象としています。
- はじめて税理士と契約する方
- 税務顧問サービス=記帳代行+確定申告 と理解されている方
- 税理士と顧問契約したことはあるが、実は税務顧問サービスの内容がよく分かっていないという方
税務顧問業務とは
メリット
項目 | 税務顧問あり | 経理担当者を雇用 |
費用 | 月額数万円~ | 人件費 毎月約30万円~/人 |
コミットレベル | 相対的に低い (必要に応じて) | 相対的に高い (勤務時間中コミット) |
税務のための事務負担 | 税理士が行う | 自社で行う |
税務アドバイス | あり | なし |
日々の税務上の論点の整理&管理 | あり | なし |
税務ソフト契約&操作 | 税理士が行う | 困難 |
税務当局から見た申告内容の信頼性 | 高い | 低い |
自分も助手席に乗っているかどうか
区分 | 例示 |
会社(事業) | 自動車 |
経営者 | 運転者 |
顧問税理士 | 助手席のサポーター |
契約上の責任とは別で士業特有の責任があるため、顧問として関与する士業には重い責任が課されます。そのため、会社(事業)=自動車 だとすると弊所では上記のように例えております。
自分自身も乗車(顧問として関与)する以上、運転者(経営者)に車を上手く運転してもらって目的地へたどり着いて欲しいと考えますので、無責任なアドバイスや中長期的目線が欠けているアドバイスなどはしにくいという特徴があります。それだけ当事者意識に近いものを持っているということです。
信号が黄色で運転者がそれに気づいていなければストップをかけますし、運転者が歩行者に気付いていなければ注意することもあります。
顧問税理士にとって顧問先は『顧客』であると同時に『深く関わっている大切な存在』でもあるので、自分の家族やパートナーに対して「黄色信号突っ走れ」のような適当なことは言わないのと同じです。
一方で、自分自身は乗車せずに(ここがポイント)、信号が黄色でも「今なら突っ切れますよ」とか歩行者が近くにいるにも関わらず「さっさと突っ切りましょう」というアドバイスをする人種もいますので要注意です…。
業務の構成要素
税理士事務所(税理士法人)がおこなう業務
主な構成要素 | 目的 | 具体例 |
純然な税務顧問業務 | 『税務会計』の質的な担保 (不利益を回避すること) | ・日々の取引の税務判断サポート ・新たに生じた取引の税務上注意点のアドバイス ・日々生じる税務に影響する情報の整理&管理 ・設備投資などの一定の取引に対する取れる税務上選択肢の検討サポート ・納税予測 ・CAPEX判定、償却資産判定 ・税務署対応 ・申告書の作成&提出 |
作業の代行 | 事務負担の軽減 | ・記帳代行 ・試算表作成 ・決算書作成 ・納付情報の作成 ・資金繰り表の作成 |
コンサルティング | 経営に資するアドバイスを得る | ・キャッシュフローのアドバイス ・管理会計視点のアドバイス ・クラウド会計導入支援 ・DX支援 ・経理業務効率化支援 |
一般的には大きく分けて上記表のようにイメージ頂ければと思います。明確に区分できない業務もありますのであくまでイメージです。
これらの業務を全てサービスメニューとして取り扱っているところもあれば、これらのうち一部のみ取り扱っているところもあるなど事務所によって異なります。
税理士事務所(税理士法人)がおこなっていない業務
項目 | 具体例 |
会計業務(記帳など)以外の経理業務 | ・債権債務の管理 ・支払の代行 ・納税の代行 ・請求書の発行 ・社内の経費精算 ・棚卸作業 |
一方で、一般的には上記表のような業務は取り扱っていない事務所が多いかと思います。
大手事務所などの場合、グループ会社としてバックオフィス代行会社が併設されており、上記表のようなバックオフィス業務の代行サービスを取り扱っているところもあるかもしれません。
料金構造
パターン | 月額 | 申告料(決算料) |
1 | 低めに設定 | 約15万円~程度 |
2 | 高めに設定 | 0円 |
3 | 1と2の中間 | 約5万円~程度 |
どこに料金のウエイトを置くかという違いであって、年額で見ればどこの税理士事務所もそれほど大差が無いというケースが多いので、月額だけ見てもあまり意味がなく年額トータルで見る必要があります。
税理士報酬の相場
「税理士報酬 相場」で検索すると色々な情報がでてきますが、「どのようなサービスが含まれているのか」「どのような前提条件で算出された相場なのか」について言及しているところはあまり見かけません。また、そもそも情報の発信元が税理士ではない(税理士業務に詳しくない)場合が多いように思います。
弊所にて前提条件を絞って整理した相場を以下に記載します。
年商 | 税理士報酬年額(税込) |
1,000万円未満 | 約419,000円 |
1,000万円以上3,000万円未満 | 約560,000円 |
3,000万円以上5,000万円未満 | 約716,000円 |
5,000万円以上1億円未満 | 約927,000円 |
1億円以上3億円未満 | 約1,063,000円 |
3億円以上 | 約1,252,000円~ |
上記表の前提となる条件は以下です。
- 法人の税務顧問報酬に限定
- 地域は限定しない
- 1人税理士事務所又はそれに近い小規模事務所のHPに公開されている料金表などに基づいて集計する
- N=35(料金プランが分かれている事務所の場合は1プランを1つとしてカウント)で平均値を算出
- 法人税申告(≒決算料)、消費税申告、償却資産申告、年末調整、法定調書の料金を集計
- 記帳代行なしの場合の料金を集計
- 各事務所HPから把握できなかった情報についてはある程度弊所の推測も含む