不動産の税金を税理士が解説。売買、贈与税、登録免許税、印紙代など

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目次

本コラムの対象者

  • 不動産賃貸業を始める予定の個人の方
  • 不動産賃貸業で法人を設立する予定の方
  • 不動産を取得又は売却、贈与する予定がある個人の方

全体像

フェーズ主な税目
不動産を取得したとき不動産取得税
登録免許税
消費税
印紙税
不動産を保有しているとき固定資産税
都市計画税
不動産を譲渡したとき所得税(譲渡所得)、法人税
住民税
不動産を賃貸しているとき所得税(不動産所得)、法人税
住民税

緑色のハイライトの税金はいわゆる「申告納税方式」(納税義務者が自分でアクションを起こさなければ申告漏れになってしまうもの)のものですので、特に注意が必要な税金です。

取得したとき

不動産取得税

名前の通りですが、取得者が払う税金です。

固定資産税評価額 × 税率(3~4%) で算出されます。

ただし、10万円未満の土地など少額の不動産の場合は免税となります。

登録免許税

不動産の登記を受ける側が負担します。

消費税

課税と非課税

土地の購入は消費税法上非課税となりますが、建物の取得は課税取引です。

主な非課税取引

(1) 土地の譲渡および貸付け

土地には、借地権などの土地の上に存する権利を含みます。

ただし、1か月未満の土地の貸付けおよび駐車場などの施設の利用に伴って土地が使用される場合は、非課税取引には当たりません。

No.6201 非課税となる取引|国税庁 (nta.go.jp)

注意しなければならないのは、土地付き建物を購入する場合です。「非課税の部分を増やしたいから土地の売買価格を大きくしよう」と考える人もいますが、素人が思いつく程度の内容であれば当然に税務当局もその穴を塞いでいます。

この辺を適当に進めようとすると、単に無駄なやりとりやトラブルを生むだけなので、不動産売買取引の契約書は必ずプロを交えて作成するようにします。

固定資産税の精算

こちら頻出のテーマですが、不動産の売買をするとき未経過分の固定資産税が売買価格に反映されることがあります。

「これは固定資産税だから消費税は非課税だ」と思うかもしれませんが、消費税法上の課税の要件を充足していますので課税の対象となります。

【照会要旨】

 不動産売買契約における公租公課の分担金(未経過固定資産税等)は、消費税法上どのように取り扱われるのでしょうか。

【回答要旨】

 不動産売買の際に、売買当事者の合意に基づき固定資産税・都市計画税の未経過分を買主が分担する場合の当該分担金は、地方公共団体に対して納付すべき固定資産税そのものではなく、私人間で行う利益調整のための金銭の授受であり、不動産の譲渡対価の一部を構成するもの(対価として収受し、又は収受すべき一切の金銭)として課税の対象となります(基通10-1-6)。

未経過固定資産税等の取扱い|国税庁 (nta.go.jp)

ちなみに未経過分の固定資産税を売り手と買い手どちらが負担するのかは、商取引の習慣や地域によって異なる場合があります。

印紙税

不動産売買取引契約書や仮契約書、不動産売買に関する念書や覚書なども印紙税の課税の対象となります。

保有しているとき

固定資産税

1/1時点において固定資産税課税台帳に所有者として登録されている者が納税義務者となります。

固定資産税評価額 × 税率(標準税率:1.4%) で算出されます。

また、一定の住宅用地であったり、一定の新築住宅などの場合は、特例が適用できる場合もあります。

一定のタワーマンションの場合には固定資産税の算出の仕方が通常と異なります。

都市計画税

該当する所有者が納税義務者です。

固定資産税評価額 × 税率(制限税率:0.3%) で算出されます。

こちらも住宅用地については特例の適用を受けることが出来る場合があります。

譲渡したとき

個人の場合

原則、譲渡所得として申告するため、これに慣れている税理士事務所に依頼することをおすすめします。

その不動産を譲渡した年の1/1時点における所有期間が5年以下なのか、5年超なのかによって税額計算が変わります。

また、一定の居住用財産(自宅や土地)を譲渡した場合には、譲渡所得からMAXで3,000万円を控除することができる特例の適用を受けることが出来る場合がありますが、譲渡した相手が配偶者や直系血族などの場合にはこの特例の適用はありません

他にも所有期間が10年を超える一定の居住用財産を譲渡した場合や居住用財産を買い替えた場合、一定の空き家を譲渡した場合など、上記とは別の特例を受けることができる場合があります。

この辺りは複雑なので、この分野が得意な税理士事務所へ有料での依頼が前提になるとお考え下さい。

法人の場合

法人の方が所得区分(事業所得、不動産所得、譲渡所得など)が分かれていない分、ある意味シンプルです。

事業に使う不動産を、事業活動の中で譲渡した場合はその際に生じた損益をその法人の会計に取り込みます。

一定の場合には圧縮記帳の論点が生じることもあります。

共通(消費税)

種別取扱い
土地の譲渡非課税売上げ
建物の譲渡課税売上げ

賃貸したとき

個人の場合

不動産所得として、賃料収入を所得税申告します。

法人の場合

不動産賃貸業として、賃料収入を法人税の申告に取り込みます。

共通(消費税)

種別取扱い
土地の貸付(1か月未満の貸付等を除く)非課税売上げ
居住用建物の貸付(1か月未満の貸付等を除く)非課税売上げ
事務所用建物の貸付課税売上げ

消費税には課税方式が複数ありますが、『簡易課税制度』を選択する場合、『第6種』に該当するため、40%の仕入れ率を適用できます。

贈与されたとき

売買との違い

①無償で相手に与える意思表示をし、 ②もらう側がそれを受諾 することで『贈与』となります。

(贈与)
第五百四十九条
 贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。

民法より

不動産取得税もかかる

贈与により不動産を取得した場合も不動産取得税が生じます。

配偶者から贈与されたとき

婚姻期間満20年以上の配偶者からの贈与で、一定の居住用不動産の贈与を受け、一定の要件に該当する場合には、基礎控除とは別で課税価格から2,000万円(その居住用不動産の価額を限度)を控除できます。

金額算定は不動産鑑定士も交えて

不動産を売買するとき値決めをすることになりますが、「当事者でどう合意したか」(『対価』の話)と「税務上その金額が適正かどうか」(『時価』の話)は全く別の問題です。

税務に明るくない方でこの辺りを誤解されている方もいますが、不動産は金額の規模も大きいので一事が万事ですので、必ず専門家を交えて進めてください。

一般的には不動産鑑定士に依頼することで後者の担保を取ることが出来ます。

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