【2026年最新】脚本家や放送作家の確定申告。税務調査は来る?税理士が解説

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脚本料や構成料は、支払われる時点で源泉徴収されているため、確定申告でどう扱えばよいか迷いやすい収入です。取引先が制作会社・放送局・出版社と複数にまたがることも多く、資料費や取材費の線引きも判断に困ります。

この記事では、脚本家・放送作家の確定申告で押さえておきたい論点を整理したうえで、税務調査でどこを見られやすいのか、大手税理士法人出身の税理士が解説しています。

目次

脚本家・放送作家に確定申告が必要になるライン

専業の場合

原則として、確定申告が必要です。所得金額(≒利益)は、脚本料や構成料などの収入(≒売上)から必要経費を差し引いて計算します。

なお、脚本料からは支払われた時に所得税が源泉徴収されています。源泉徴収は概算での天引きであるため、経費や各種控除を反映した確定申告をすると、納めすぎた税金が還付されるケースもあります。

会社員と兼業の場合

1か所から給与を受けていて、給与所得以外の所得の合計が20万円以下であれば、原則として、所得税の確定申告は不要とされています。ただし、この場合でも住民税については1円でも利益があるのであれば住民税申告が必要です。

また、源泉徴収された所得税の還付を受けるために確定申告をするのであれば、20万円以下の所得も申告書に含める必要があります。

よくあるミス
  • 住民税にも20万円ルールが適用されると誤解している。

脚本料や構成料から天引きされる源泉所得税

脚本家・放送作家が受け取る報酬の多くは、「原稿の報酬」「放送謝金」などに該当し、支払われる時に源泉徴収されます。

演劇・演芸の台本の報酬や、映画のシノプス(筋書)料が「原稿の報酬」に該当するとされています。また、映画・演劇の原作料や上演料は「著作権の使用料」に該当します。

「取材費」「車代」といった名目で支払われた場合でも、実態が原稿料や講演料と同じであれば源泉徴収の対象になります。

事業所得と業務に係る雑所得の分かれ目

事業としての実態があるかどうかで分かれます。主観的に「これは事業だ」と自己主張するだけで自動的に事業所得になるわけではありません。

法改正により、その所得に係る取引を記録した帳簿書類を保存していれば、おおむね事業所得に区分される取扱いが示されました。反対に、帳簿書類の保存がない場合は業務に係る雑所得と扱われるのが基本です。

ただし帳簿を保存していても、収入金額が例年(おおむね3年程度)300万円以下で主たる収入に対する割合が10%未満である場合などは、事業と認められるかどうかを個別に判断することとされています。

雑所得になると、青色申告特別控除や他の所得との損益通算が使えません。また、前々年の業務に係る雑所得の収入金額が300万円を超える場合は現金預金取引等関係書類を5年間保存する義務があり、1,000万円を超える場合は収支内訳書の添付が必要です。

経費計上で判断が分かれる支出

業務との関係を説明しやすい支出

企画や執筆のために購入した書籍・脚本・映像作品、取材にかかった交通費や宿泊費、打ち合わせの飲食代、原稿執筆に使うパソコンやソフトウェア、業界団体の会費、通信費などが該当します。

いずれも「どの仕事のために使ったか」を記録しておくと、後から説明しやすくなります。日付・相手先・目的をメモしておくだけでも精度が変わります。

私的な支出との線引きが必要な支出

自宅を仕事場として使っている場合の家賃・光熱費は、仕事に使っている面積や時間などの合理的な基準で按分(家事按分)した部分のみが経費になります。

動画配信サービスの月額料金や映画館の鑑賞料も、企画のためのリサーチと私的な娯楽の両面を持つ支出です。全額を経費とするのではなく、業務での使用割合を説明できる形にしておく必要があります。

また、家事按分は、客観的かつ合理的な基準で、明確に区別できていなければなりません。このような区分できない場合、その全額が必要経費計上できません。

よくあるミス
  • 少しでも業務に関連していれば、全額必要経費に計上できると誤解している。

脚本家・放送作家に税務調査が来る確率

国税庁の「令和6事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」によると、所得税の実地調査は46,896件、文書や電話などによる「簡易な接触」は689,440件、合わせて736,336件でした。

一方、令和6年分の所得税等の確定申告書の申告人員は2,339万人です。単純に割ると、実地調査を受ける割合は0.2%程度にとどまります。

ただし、簡易な接触は68万件を超えており、申告内容に疑問があれば税務署から連絡が入る可能性は決して低くありません。実地調査による追徴税額は1件当たり241万円でした。

2026年から税務当局が使うシステムにAIが実装されますが、これにより、「従来、調査対象として選定されて来なかった事業者」も高精度に選定される確率が高まることが予想されます。

税務調査で指摘されやすい項目

売上の計上時期のずれ

事業所得の売上は、入金日ではなく、「納品日」や「役務の提供が完了した日」で計上するのが原則です。たとえば、12月に納品完了した脚本の報酬が翌年1月に振り込まれた場合、その売上は原則として12月分に計上します。

年をまたぐ取引は毎年発生するため、調査で最初に確認されやすい箇所です。

また、「納品から入金までに数か月時間が空くケース」や「納品してから請求書発行を後回しにしていたケース」などの場合、売上の計上が漏れる可能性が高くなります。

支払調書と申告内容の食い違い

支払調書が届いていない取引先の報酬を集計から落としてしまう、源泉徴収税額を税込・税抜で取り違える、二次使用料や印税の入金を計上し忘れる、といった漏れが典型例です。

通帳の入金をすべて洗い出し、請求書と突き合わせておくと防げます。

経費に混ざった私的な支出

家事按分の根拠が説明できない家賃・光熱費、相手先の記録がない飲食費、業務との関係が示せない書籍や映像コンテンツの購入費は、指摘の対象になりやすい支出です。

申告漏れに気づいたときの対応

可能な限り早く修正申告をするのが鉄則です。税務署からの調査の事前通知の前に自主的に修正申告をすれば、ダメージが少なめであるためです。

申告そのものをしていない年分がある場合はペナルティが重く、令和6事務年度の無申告者に対する実地調査(特別・一般)は4,812件、1件当たりの追徴税額は524万円でした。

「所得区分がこれでよいのか分からない」「経費の範囲に自信がないまま何年も申告してきた」という状態は、脚本家・放送作家の方によくあるご相談です。当事務所では単発でのご相談も受け付けていますので、過去の申告内容を確認したうえで、どこを直せばよいかを一緒に整理することもできます。

よくある質問

脚本料から源泉徴収されていれば確定申告は不要ですか?

不要ではありません。

事業者であれば原則として確定申告は必要と考えましょう。

また、源泉徴収は概算での天引きであり、経費や所得控除は反映されていないためです。経費が多ければ、確定申告により納めすぎた税金が還付される場合もあります。

放送作家の収入は事業所得と雑所得のどちらになりますか?

帳簿書類を作成・保存していれば、おおむね事業所得に区分されますが、どこかに正解が書かれている話ではないため、最終的には個別判断となるため、迷う場合は確認をおすすめします。

資料として観た映画や動画配信サービスの料金は経費になりますか?

業務のために使った部分に限って経費になりますが、その区別が不可能な場合は全額が必要経費になりません。

こういった、プライベート要素が混在しているように見えるサブスクリプションは税務調査時に細かく見られることが容易に予想できる項目ですので、適当に経費計上することだけは絶対に辞めましょう。

支払調書を送付してこない取引先から受け取った報酬(売上)は申告しなくてよいですか?

申告が必要です。支払調書は納税者に交付する義務がないため、届かないこともあります。

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この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【取引金融機関】日本政策金融公庫、GMOあおぞらネット銀行

■資格・認定■
税理士(登録番号150781)
政治資金監査人(登録番号6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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