消防用設備の点検や工事を独立開業して自分で受けるようになると、売上の管理から確定申告まですべて自分の責任になります。
この記事では、フリーランス・業務委託・一人親方という呼び方の違い、独立直後に出す税務届出と期限、会計ソフトが必要かどうか、税理士との契約形態の選び方などを整理しています。
何から手をつければよいか分からない段階の方が、順番を確認するための内容です。
フリーランス・業務委託・一人親方
| 呼称 | 税務上 | 確定申告 |
|---|---|---|
| 会社員 | 給与所得者 | 原則、年末調整で完結 |
| フリーランス | 事業所得者または雑所得者 | 原則、必要 |
| 業務委託 | 事業所得者または雑所得者 | 原則、必要 |
| 一人親方 | 事業所得者または雑所得者 | 原則、必要 |
呼称が異なっていても、税務上は、給与所得者かそれ以外かで大きく分かれます。どこからも雇用されずに消防設備士として活動するのであれば、それは自営業=個人事業主、という位置づけになります。
また、どこかに雇用されながら、副業として消防設備士としての業務を行う場合、多くは副業(雑所得者)として整理されます。
また、2024年に法改正があり、社会全体の動きとしては、より一層フリーランスが保護される方向に動いています。自営業の常識として知っておきましょう。
独立したら開業届出
| 主な書類 | 期限 | 提出先 |
|---|---|---|
| 個人事業の開業・廃業等届出書 | 事業の開始等の事実があった日の属する年分の確定申告期限まで | 所轄税務署 |
| 所得税の青色申告承認申請書 | 青色申告しようとする年の3月15日まで※1 | 所轄税務署 |
| 事業開始等申告書 | 事業開始の日から15日内※2 | 自治体 |
- ※1 その年の1月16日以後、新たに事業を開始等した場合には、その開始等の日から2か月以内。
- ※2 東京都の場合。
2026年1月1日以後に開業した方の提出期限は、開業した年分の確定申告期限までです。2026年6月に開業したなら、2027年3月15日が期限になります。2025年12月31日までの開業は、従来どおり開業から1か月以内が期限でした。
期限は緩やかになりましたが、後回しにしてよい理由にはなりません。屋号での口座開設や補助金の申請で控えを求められる場面があり、次の青色申告承認申請書と一緒に出しておくほうが確実です。
青色申告承認申請は緩和されていません。1月16日以後に開業した場合、開業日から2か月以内が期限です。1日でも過ぎると、その年は白色申告になります。
青色申告を選ぶと、複式簿記で記帳したうえで期限内にe-Taxで申告した場合に65万円(改正後は75万円)、書面で申告した場合に55万円、簡易な帳簿の場合に10万円を所得から差し引けます。赤字を翌年以後3年間繰り越せる点も、工具や車両、講習費用の支出が先行しやすい開業初年度には効いてきます。ただし、「複式簿記で記帳」するためには会計の専門性が必要です。ご自身で勉強するか、税理士へ依頼するかの二択となります。
消防設備業に必要な備品を揃える
独立後は、今まで社内の他部署(経理や総務など)がやってくれていたこともすべて自分ひとりでおこなわなければなりません。
たとえば「PCを持っていない」という状態もかなり危ういです。個人事業の利害関係者とのやり取りで頻繁に使用するためです。
会社員時代に会社が容易してくれていた設備やリソースを思い出してみて、自分で準備しなければならない物はどれかをリストアップしてみましょう。
インボイス登録
消防設備士の業務は大半がBtoBと想定されるため、インボイス登録することで取引先からの信頼を獲得できる可能性があります。
インボイス登録すると、原則として、消費税の申告納税義務が生じます。消費税申告はプロ以外の方ができるような内容ではありませんので、インボイス登録する場合は税理士への依頼は必須と考えましょう。
会計ソフトが必要な人と不要な人
自力で申告する場合
| freee会計 | MFクラウド確定申告 | |
|---|---|---|
| 主なユーザー層 | フリーランス | フリーランスから大企業まで |
| 雰囲気 | 先進的 | オーソドックス |
| 複式簿記の習得※1 | ある程度は不要 | 必要 |
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- ※1 会計ソフトはあくまでも「補助輪」です。青色申告をする場合、複式簿記を理解していなければ一定のリスク残ります。
確定申告まで自分で済ませるつもりなら、会計ソフトはほぼ必須です。一定の青色申告特別控除には複式簿記での記帳と貸借対照表の添付が求められ、手書きや表計算ソフトで組み立てるのは現実的ではありません。
「複式簿記で記帳」は、ただ収入や経費を適当に集計すれば良いというものではなく、複式簿記のルールに従って、法定されている帳簿を作ることを意味します。複式簿記への理解が無い場合、これを一朝一夕で手書きやExcelでおこなうことは不可能です。市販の会計ソフト(マネーフォワードクラウドやfreee会計など)でおこないましょう。
白色申告でも記帳と帳簿の保存は義務です。「青色にしないから帳簿はいらない」という理解は誤りです。
税理士に依頼する場合
記帳から申告まで税理士に任せる場合は、自分でソフトを契約しなくても問題ありません。領収書と通帳のデータを渡す形であれば、税理士側で処理するためです。
なお、複式簿記はほとんどALL or NOTHINGの世界ですので、「途中まで自分でやる」という選択肢はおすすめできません。つまり、80点=0点(何もやっていないのと同じ状態)ということです。
途中まで自分でやるつもりで会計ソフト利用料を先に支払ってしまうと、大半の税理士事務所では「途中まで入力した帳簿(100点になっていないもの)」は使用しませんので、会計ソフト利用料が無駄になってしまいますので注意しましょう。
税理士との契約形態
スポット契約
スポット契約は、必要なときだけ単発で依頼する形です。開業直後で取引数が少ない時期や、「今年の確定申告だけ任せたい」という段階に向いています。
費用が発生するのは依頼したときだけで、毎月の固定費は増えません。反面、期中の判断(この支出は経費になるか、車両をどう買うか)を都度相談する相手がいない状態が続きます。さらに、税理士事務所は顧問先を常に最優先するため、「依頼したいときに依頼できない」という事態も発生する可能性が高くなります。
ピザ屋の出前のように、コンタクトをとれば無条件で契約できるというものではなく、不動産賃貸の部屋探しと似たようなものだとイメージしましょう。
顧問契約
顧問契約は、毎月一定の料金で継続的に相談とチェックを受ける形です。売上が増えて外注や従業員が関わってきた段階、法人化を検討し始めた段階では、期中に相談できることの意味が大きくなります。
売上が数百万円で取引先も1〜2社という段階では、費用に見合わないこともあります。
独立して最初の1〜2年は、「毎月の顧問料までは負担したくないが、届出と申告だけは間違えたくない」という状態になりやすい時期です。
よくある質問
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