個人の画商やアートギャラリー運営の確定申告を税理士が解説。

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画商やアートギャラリー運営は、個人で活動する方が多いですが、確定申告は、作品の持ち方によって処理が変わります。

自分で買い取って売るのか、作家から預かって売るのか、場所だけを貸すのかなど、この記事では、販売形態ごとの申告の考え方、在庫を持つ場合の棚卸の負担、貸しスペースの収入が不動産所得になる場合、そして個人事業税や消費税で確認しておきたい点を整理します。

目次

画商・アートギャラリー運営の販売形態

買取仕入れによる販売

作品を自分で買い取り、在庫として持ってから売る形態です。売れた年に、その作品の売上と仕入代金の両方が計上されます。これは通常の小売業と似ている形態で、棚卸しが煩雑になります。

仕入れた年に代金の全額が経費になるわけではありません。お金の動きと所得の金額がずれやすい形態です。

作家や所有者からの委託販売

作品の持ち主は作家やコレクターのままで、売れたときに手数料を受け取る形態です。預かっている作品は、原則として自分の在庫にはなりません。

自分の在庫を他のギャラリーやオークションに預けて売ってもらう場合は、立場が逆になります。この場合は、売れるまで自分の在庫として残ります。

展示スペースの貸し出し

壁面や区画を作家に貸し、使用料を受け取る形態です。場所を貸すだけなのか、企画や販売代行まで担うのかで、所得の区分が変わることがあります。

場合によっては、事業所得なのか不動産所得なのか区別が困難なケースもあるでしょう。

委託販売による画商・アートギャラリー

売上を計上する時期

委託販売の収入は、原則として「受託者がその委託品を販売した日」に計上します。受託者とは、作品を預かって売る側のことです。

売上計算書が1か月を超えない期間ごとに届く場合は、その到達日で計上することも認められています。ただし、毎年同じ方法を続けることが前提です。

年末年始をまたぐ取引では、どちらの年の売上になるかが変わります。契約書と精算書は、日付が分かる形で残してください。

収入に計上する金額

作品を預かって売った側の収入は、原則として受け取る手数料だけです。販売代金の全額を売上にすると、消費税の対象となる売上の合計が実態とずれます。

消費税では、軽減税率の対象でない取引に限り、全額を売上として処理する方法も認められています。どちらを選ぶかは、インボイスの出し方にも関わります。

小売業形態による画商・アートギャラリー

期末在庫が経費にならない仕組み

売上原価は「年初の在庫+その年の仕入れ-年末の在庫」で計算します。年末に売れ残った作品の仕入代金は、その年の経費になりません。

仕入れを増やした年ほど、手元の現金は減るのに所得は下がりません。

よくあるミス

仕入れたタイミングで経費計上している。

棚卸資産の評価方法と届出

年末の在庫をいくらで評価するかには、いくつかの方法があります。税務署に届け出ていない場合は、最終仕入原価法が使われます。最後に仕入れたときの単価で在庫を評価する方法です。

作品ごとに仕入価格が大きく違う美術品では、実態に合う方法を選んで届け出るかどうかの検討が必要です。届出書の期限は、事業を始めた年分の確定申告期限までです。

実地棚卸で必要な作品ごとの記録

美術品は同じものが二つとありません。数量でまとめる管理ではなく、1点ずつの管理になります。

作品名、作家名、仕入先、仕入日、仕入価格を、作品ごとにひもづけて残します。額装費や輸送費を仕入価格に含めるかどうかでも、年末の金額は変わります。

自分の在庫と預かり品が同じ壁面や倉庫に並んでいると、集計そのものが難しくなります。在庫が数十点になると、この作業だけで申告期限が迫ります。

貸ギャラリー収入が不動産所得になる場合

展示スペースを貸して受け取る使用料は、場所を貸すだけであれば不動産所得になる可能性があります。不動産所得とは、土地や建物を貸して得る所得のことです。

販売による事業所得と、スペース貸しの不動産所得が両方ある場合は、帳簿も収支の集計も分けることになります。判断は契約内容と実際の関わり方で変わるため、個別に確認しておくことをおすすめします。

個人事業税の課税区分

美術品の売買は、個人事業税では物品販売業に区分され、税率は5%です。所得から年290万円の事業主控除を差し引いて計算するため、所得が290万円以下であれば課税されません。

事業を始めたときは、都道府県税事務所への届出が必要です。東京都の場合は、開始の日から15日以内とされています。

個人からの買取りとインボイスの取扱い

中古の美術品を個人のコレクターから買い取る場合、相手はインボイスを発行できないことがほとんどです。インボイスがないと、原則として仕入税額控除が使えません。仕入税額控除とは、納める消費税から、仕入れのときに払った消費税を差し引くことです。

ただし、古物営業法の許可を受けた古物商には特例があります。一般消費者など「インボイスを発行できない相手」から販売用の古物を買い取った場合は、決められた事項を書いた帳簿を残すだけで仕入税額控除が認められます。

許可を受けていること、買い取った作品が販売用であることなどが要件です。自分の取引が当てはまるかどうかは、仕入れの経路ごとに確認が必要です。

参考リンク

よくある質問

画商として開業したら古物商の許可は必要ですか?

中古の美術品を買い取って販売する場合は、原則として古物営業法の許可が必要です。

消費税の帳簿だけで済ませる特例も、この許可を受けていることが前提です。なお、許認可は税理士ではなく行政書士へ依頼が必要です。

作家から預かっている作品も年末の棚卸に含めますか?

委託で預かっているだけの作品は、原則として自分の在庫には含めません。作品の持ち主が自分ではないためです。

展示スペースの貸し出しだけでも確定申告は必要ですか?

他の所得と合わせて判断します。会社員の方で、給与以外の所得の合計が年20万円以下であれば、所得税の確定申告が不要となる場合がありますが住民税の申告は別に必要です。

というより、商売をやっている以上、原則として確定申告は必要と考えていた方が安全です。「確定申告が必要か否か?(しなくてもいいかもしれない)」はサラリーマンの考え方です。

在庫を抱えて赤字になった年でも青色申告をする意味はありますか?

あります。青色申告なら、その年の赤字を翌年以後3年間繰り越し、黒字の年の所得から差し引けます。仕入れが先行して赤字になりやすい業種のため、事前の申請を検討する価値があります。

インボイス登録はしたほうがよい?

税金のことよりも、BtoBでやっていくつもりなのか、BtoCでやっていくつもりなのかで考えることをおすすめします。

前者はある程度規模の大きい法人の応接室用など、後者は趣味でアートを楽しむ個人の層などが想定されます。

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この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【取引金融機関】日本政策金融公庫、GMOあおぞらネット銀行

■資格・認定■
税理士(登録番号150781)
政治資金監査人(登録番号6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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