ChatGPTの有料プランを仕事で使っている個人事業主の方は多いと思います。ただ、同じアカウントで献立の相談や旅行の計画もしている場合、利用料の全額を経費にしてよいのか迷うところです。
この記事では、ChatGPTの有料プランが経費になるケースとならないケース、私用と混ざっている場合の按分(業務分と私用分に分けること)の考え方、按分の根拠として残しておきたい記録を解説します。あわせて、今後はAIの利用履歴そのものが税務調査で確認される時代になると予想される理由にも触れます。
ChatGPT有料プランを経費にできるケースとできないケース
業務だけに使っている場合
業務だけに使っているアカウントの利用料は、全額を必要経費にできます。資料の下書き、メール文面の作成、プログラムのコード確認、市場調査など、事業のために使っていることが説明できれば問題ありません。
ただし「業務だけに使っている」と言えるのは、私用の会話が一切ない場合です。1つのアカウントで少しでも私用に使っているなら、次の「私用と業務が混ざっている場合」として扱います。
3種類の経費
| 区分 | 説明 | 経費 |
|---|---|---|
| 家事費 | 100%プライベートに係る経費 | NG |
| 必要経費 | 100%事業に係る経費 | OK |
| 家事関連費 | 家事費と必要経費の両方の側面がある経費 | 原則:全額NG 特例:区分できた部分だけOK |
- 個人事業や副業としての活動を開始すれば、生活費やプライベート経費も、必要経費として計上できると誤認している。
- 家事関連費は原則、全額必要経費に算入できず、特例として一定の場合にのみ、事業に関する部分だけ算入できるということを知らなかった。
私用と業務が混ざっている場合
私用と業務の両方に使っている場合、利用料は家事関連費(仕事とプライベートの両方にかかわる支出)に当たります。家事関連費のうち必要経費にできるのは、業務に必要だった部分を記録などにもとづいて明らかに区分できる金額に限られます。
国税庁の取扱いでは、業務に使った部分が半分を超えるかどうかが1つの目安とされています。半分以下であっても、業務の部分をはっきり区分できれば、その部分は必要経費にできます。
反対に、区分の根拠を何も示せない状態で全額を経費にするのは誤りです。私用分まで経費に含めると、必要経費の過大計上になり、所得が少なく申告されることになります。
按分割合の決め方
会話の件数で分ける方法
一定期間の会話(チャット)の件数を、業務用と私用に分けて数える方法です。たとえば1か月分の履歴を見て、業務の会話と私用の会話の割合を出し、その割合を年間の利用料に当てはめます。
会話のタイトルを見れば用途が分かることが多いため、後から数え直しやすい点が利点です。
利用した日や時間で分ける方法
営業日に使ったか休日に使ったか、業務時間内か業務時間外かで分ける方法です。休日にも仕事をする方や、業務時間中に私用で使う方は実態とずれやすいため、会話の件数と組み合わせて確認すると説明しやすくなります。
どの方法を選んだ場合も、途中で都合よく割合を変えず、同じ基準で継続して計算することが大切です。
AIの利用履歴が税務調査で確認される可能性
税務調査で提示を求められる記録の範囲
税務調査では、調査に必要があれば、紙の帳簿や書類だけでなくパソコン内のデータなど電磁的記録(電子データ)の提示・提出も求められます。国税庁は、代表者名義の個人預金の通帳のように事業との関係がある私物であれば、私物であることを理由に提示を断ることはできないという考え方を示しています。
ChatGPTの利用料を経費にしている場合、「どのくらい業務に使ったか」を最も直接示すのは会話の履歴です。按分割合について説明を求められたとき、画面で履歴を示すよう求められることは十分に考えられます。
国税庁自身のAI活用
国税庁は、保有するデータを予測AIで分析して申告漏れのリスクを点数化し、調査の対象や優先度の判断に使っていることを公表しています。
調査する側がAIやデータ分析を前提に動いている以上、調査を受ける側も「データで説明できるか」がこれまで以上に問われます。按分割合を感覚で決めていると、履歴と食い違ったときに説明がつかなくなります。
按分の根拠として残しておきたい記録
利用料の領収書・請求書のデータ
ChatGPTの利用料の領収書は、メールやPDFで受け取るのが一般的です。電子データで受け取った領収書は電子取引に当たり、紙に印刷して保存するだけでは足りず、電子データのまま保存する必要があります。
按分割合を計算した根拠のメモ
いつの履歴を、どの基準で数えて、何割と判断したのかを記録しておきます。数か月に1回でも履歴を確認して割合を記録しておけば、調査のときに「この計算でこの割合にした」と説明できます。
会話の履歴を削除する設定や、履歴を残さない一時的なチャットを多用していると、按分の根拠を後から示すことが難しくなります。業務で使う会話は履歴を残しておくほうが安心です。
業務用と私用のアカウントの使い分け
業務用と私用でアカウントを分ければ、業務用アカウントの利用料は按分せずに全額を経費にしやすくなります。按分の計算や説明の手間を減らしたい場合は、アカウントを分けることも選択肢の1つです。
経費にしてはいけない使い方
私用だけに使っているアカウントの利用料を経費にするのは誤りです。家族が使っているアカウントの利用料を、自分の事業の経費に含めるのも誤りです。いずれも必要経費の過大計上になります。
また、業務での利用がほとんどないのに「仕事でも使っているから」と高い割合で按分することも、実態と合わない申告になります。調査で履歴を確認されれば、割合の根拠がないことはすぐに分かります。
同じ利用料でも、使い方や記録の残し方によって経費にできる金額は変わります。自分の按分割合が妥当か迷う点があれば、お気軽にご相談ください。
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