償却資産の申告を忘れていたことに気づいたとき、役所から連絡が来るのを待つか、自分から申し出るかで迷う方は少なくありません。
この記事では、申告漏れが分かった場合に何が起こるのか、自主申告を考えるときに何を確認すべきかを、個人事業主・法人の経営者向けに整理します。
償却資産の申告制度を知らなかったケース
償却資産の申告は、制度自体を知らないまま申告漏れになっているケースが珍しくありません。知らなかったこと自体は、よくある状況です。特に、創業期に税務を軽視してしまっているケースです。
所得税や法人税の申告は、税務署に出す手続きです。償却資産の申告は、事業所のある市区町村に出す、まったく別の手続きです。確定申告をきちんと済ませていても、償却資産の申告は漏れていることがあります。
ただし、制度を知らなかったという事情だけで、遡及課税や延滞金がなくなるとは限りません。正当な理由があるかどうかは、自治体が個別に判断します。
そのため、制度を知らなかった場合は、気づいた時点で自治体の窓口へ相談し、事情を説明することが現実的な選択です。
償却資産の申告漏れで起こること
さかのぼり課税は最長5年
申告漏れが分かった場合、さかのぼって課税される期間は最長5年です。複数の自治体が同じ内容を案内しています。
たとえば、8年前に取得した設備を一度も申告していなかった場合でも、さかのぼるのは最長5年分が目安になります。ただし、資産の取得時期や課税の対象になった年度によって、実際の対象年数は変わります。
過去分の税額は、見つかった時点で一括して納めることになります。自治体によっては、遡及分を次の納期にまとめて納付する扱いです。
延滞金や過料の可能性
追徴された税額には、期間に応じて延滞金がかかる場合があります。
さらに、正当な理由なく申告しなかった場合は、過料(行政上の罰金のようなもの)を科されることがあります。虚偽の申告をした場合は、罰金を科されることもあります。
過料や延滞金が実際にいくらになるかは、自治体や状況によって異なります。
自主申告と指摘後で変わる点
さかのぼる期間の上限は、自主的に申し出た場合も、指摘を受けた場合も、最長5年で変わりません。違いが出るのは、延滞金や過料の扱いです。
過料を科すかどうかは自治体の判断で、申告漏れに至った事情や、その後の対応が考慮される場合があります。
そのため、自主申告をすれば必ず軽くなるとは言い切れません。ただ、指摘を待つ間にも延滞金の対象期間は延びていきます。さらに、指摘を受けてから対応すると、他にも見落としていた資産が一緒に見つかる可能性もあります。
自分から動く場合は、次の順で進めるのが現実的です。
まず、いつから、どの資産が未申告なのかを整理します。次に、自治体の償却資産担当窓口へ、申告漏れに気づいた旨を伝えて相談します。最後に、窓口で案内された手続きに沿って、過年度分の申告書を提出します。
どの資産が対象か、何年分が必要かは、自治体への確認が欠かせません。申告書の様式や提出方法も自治体ごとに異なります。
申告が必要な人と資産
申告が必要な人
事業用の償却資産を、毎年1月1日時点で所有している人です。申告の期限は、その年の1月31日までです。
個人事業主でも法人でも、事業をしていて償却資産があれば対象です。
対象になる資産
パソコン、工具、業務用の機械、店舗の内装設備など、事業のために持っている資産で、減価償却(購入費用を数年に分けて経費にする処理)の対象になるものが中心です。
所得税や法人税の申告で減価償却している資産が、そのまま償却資産の申告対象にもなる、と考えると分かりやすいです。
取得価額が10万円未満で購入時に全額を経費にした資産や、20万円未満で3年間にまとめて経費にする処理をした資産は対象外です。一方で、個別に減価償却している資産や、税法上の特例を使って購入した資産は申告が必要です。
申告が不要になるケース
保有する償却資産の評価額の合計が、免税点(150万円)に満たない場合は、固定資産税(償却資産)は課税されません。
ただし、課税されないことと、申告書を出さなくてよいことは別の問題として扱われる場合があります。申告書の提出が必要かどうかは、自治体に確認してください。
なお、事業を廃止したり、事業所を閉鎖したりした場合も、その旨の届出が必要です。
申告漏れに気づいたときの動き方
まず確認するのは、未申告の資産の一覧と、取得した時期です。
所得税や法人税の申告で使っている固定資産台帳(減価償却の対象資産をまとめた帳簿)があれば、そこから資産を洗い出せます。台帳に載っている資産のうち、事業用のものを取得年ごとに分けておくと、窓口で話が進みやすくなります。
個別の資産が対象かどうかは、使い方や契約形態によって判断が分かれます。たとえば、リース契約の資産は、所有者がどちらかによって申告する人が変わります。自宅と事務所を兼ねている場合や、店舗の内装設備を自分で入れたのか貸主が入れたのかでも、扱いが変わります。
資産の区分や、さかのぼる年数の判断に迷う点があれば、自治体の窓口とあわせて、税理士にもご相談ください。
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