創業期3期目以内のひとり社長必見。原価となる外注費の管理の重要性。

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ひとり社長は外注することが多い

1人社長は、自分以外に従業員を雇用していない形態の会社です。

人手が必要になっても、正社員やパートタイムの従業員を増やすという選択肢を取らず、外部の専門家や業者に業務を委託するケースが多く見られます。1人で事業を運営する以上、デザイン、システム開発、事務作業、営業代行、コンサルティングなど、必要な業務を外注によって調達する経営スタイルが基本になります。雇用契約を結ばずに必要なスキルを必要なタイミングだけ調達できるため、固定費である人件費を抑えながら事業活動できる点がメリットです。

一方で、社内にノウハウが貯まらない、外部リソースに依存することになるため経営が不安定になる、といったデメリットもあります。

外注費(原価)を販管費に入れてない?

正しい順番

登場人物ポジション
A社あなた
B社あなたのクライアント
C社あなたの外注先
STEP
外注先Cへ発注

前払い契約でない限りはこの時点では何も会計処理はおこないません。

STEP
外注先CからAへ納品完了

この時点では、「外注先CからA(あなた)への業務提供は完了したが、この原価に対応する売上げは未確定」という状態です。この場合は、一旦、棚卸資産(仕掛品など)として計上しておく必要があります。つまり、損金算入してはNGです。

STEP
AからBへ納品完了

これでAにとっては売上確定です。このタイミングでようやく外注費を「売上原価」として損金算入できます。

原価管理をしていないと…

外注費を会計処理する際、よく見られる誤りが、すべてを「販売費及び一般管理費(販管費)」として処理してしまうケースです。

外注費が売上を上げるための直接的な業務(製造、開発、サービス提供など)に対する費用であれば、これは「売上原価」に該当します。これを販管費として処理してしまうと、損益計算書上の表示が誤るだけでなく、決算時の損金算入のタイミングを誤らせる原因になります。

売上原価は、対応する売上が計上された時点で費用化するという「費用収益対応の原則」に基づいて処理する必要があります。たとえば、外注先への支払いが先行していても、その業務に対応する売上がまだ計上されていない場合、その外注費は当期の損金ではなく、仕掛品や前払費用として翌期以降に繰り越して処理しなければならない場合があります。

これを販管費として一括で費用処理してしまうと、本来は翌期以降の損金となるべき費用を当期の損金に含めてしまうことになります。結果として、当期の利益を実態よりも少なく見せてしまい、税務調査で損金算入の時期について否認されるリスクが生じます。

外注費が売上に直接結びつくものかどうかをまず区分し、原価に該当するものについては、対応する売上の計上時期に合わせて損金算入することが重要です。日々の経理処理の中で、外注費を一つの費用区分にまとめてしまうのではなく、案件ごとに紐づけて記録する習慣をつけることが、正確な決算の第一歩になります。

「それが原価かどうか」は会計事務所には分かりません。事業の主人公である本人にしか知り得ない情報ですので、会計事務所側も、クライアントから「これは原価です」と明示が無い場合、そのまま販管費のひとつとして処理されてしまうケースもあるため、必ず自身で社内管理しましょう。

利益率の把握ができる

案件売上原価利益事業効率
A200万円100万円190万円良好
B800万円700万円100万円見直し必要

外注費を原価として正しく区分すると、会計上の正確性が高まるだけでなく、プロジェクトごとの利益率を把握できるようになるという経営上のメリットもあります。せっかく面倒な管理表を作るのであれば、是非とも経営の役に立てましょう。

1人社長の場合、複数のプロジェクトやクライアントを並行して抱えていることが少なくありません。外注費を販管費として一括計上してしまうと、どのプロジェクトにどれだけのコストがかかっているのかが見えなくなり、会社全体の利益は把握できても、個々の案件の採算性は分からないままになってしまいます。

外注費を原価として区分し、プロジェクト別や取引先別に集計する仕組みを整えれば、どの案件が高い利益率を生んでいるか、どの案件が外注費の負担によって採算が悪化しているかを可視化できます。これにより、利益率の低い案件への対応を見直したり、特定の外注先への依存度を調整したりといった判断が可能になります。

こうした情報は、新規の見積りや価格設定の場面でも役立ちます。過去の実績データに基づいて、外注費を含めた実際のコスト構造を踏まえた値付けができるようになるため、感覚に頼った受注判断から、データに基づいた経営判断へ移行することができます。

外注費の管理は、単なる会計処理の正確性の問題にとどまらず、経営判断の質を左右する重要な要素です。1人社長として事業を続けていくうえで、外注費を原価として正しく区分し、プロジェクトごとの採算を見える化する体制を整えることをお勧めします。

  • 原価管理は単なる「面倒な事務作業」ではなく、経営判断に役立つもの。

よくある質問

原価かどうかは税理士が教えてくれる?

いいえ、ご自身で判断しなければなりません。

会計事務所はクライアントの皆さまからレシート等を受取っても、それが原価なのか販管費なのか判断する術を持っていません。

レシート等を見ても「原価なのかどうか」は記載されていません。そのため、ご自身で整理し、それをご自身で会計事務所へ伝える必要があります。大半の会計事務所側は、受領した情報のみで判断せざるを得ないため、原価だと明示されない場合は販管費として処理されるケースが多いと思われます。

皆さまご自身が積極的に会計事務所へ意思表示しなければ、会計処理を誤ることになりますので要注意です。

原価の管理はどうやってやればいい?

通常は、Excelなどで原価管理表を作ります。

個人事業のハンドメイド作家さんなど小規模な事業者さまでも当然におこなうことですので、法人として活動しているのであれば必ず原価管理表をつくりましょう。

弊所でも、ひな型を必要に応じてお渡ししておりますので、それを加工などして使って頂きます。

ご自身の会計や税務について、「自分の場合はどのように進めるべき?」とお悩みの方は、まずは弊所サービス内容をご確認いただき、無料WEB面談をご予約下さいませ。

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この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837

■資格・認定■
税理士(150781)
政治資金監査人(6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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