個人が開業したときに必要な届出書・申請書一覧。税理士が開設

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ネットで調べれば「開業届出」「青色申告承認申請」が必要といった情報はある程度入手できますが、正式名称の書類名が記載されていなかったり、国税(対税務署)の話しか書かれておらず、地方税(対自治体)に関する書類については触れられていなかったり、といった場合があります。

本コラムではそれらを整理しました。

目次

開業のタイミングで確認すべきもの

名称必要な場合期限提出先
個人事業の開業・廃業等届出書開業する場合事業開始等の事実があった日から1ケ月以内税務署
所得税の青色申告承認申請書青色申告する場合原則:申告対象年の3月15日まで
申告対象年の1月16日以後に開業した場合:事業開始日から2か月以内
税務署
青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書青色事業専従者給与額を必要経費に算入したい場合原則:必要経費に算入する対象年の3月15日まで
対象年の1月16日以後に開業or専従者がいることとなった場合:「開業日or専従者がいることとなった日」から2か月以内
税務署
所得税の青色申告承認申請書(兼)現金主義の所得計算による胸の届出書現金主義によって計算することを選択して青色申告する者のうち小規模事業者要件に該当する場合原則:申告対象年の3月15日まで
申告対象年の1月16日以後に開業した場合:事業開始日から2か月以内
税務署
事業開始等申告書開業する場合各都道府県等で定める日
(都税の場合開業から15日以内)
自治体
適格請求書発行事業者の登録申請書インボイス発行事業者となるとき事業を開始した日の属する課税期間末日税務署

法人の場合は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出」も提出が必要な場合がありますが、個人の場合は「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すればOKです。

個人が、新たに事業を始めたり事業を行うために事務所等を設けた場合、事業を行う事務所等を移転した場合、又は事業を行う事務所等を廃止した場合には、「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄税務署長に提出することになっていますので(所得税法229条)、この「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を提出する必要はありません(所得税法230条)。

国税庁『A2-7 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出』より抜粋

開業後、はやめに確認すべきもの

名称必要な場合期限提出先
所得税の棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法の届出書事業所得者のうち新たに事業を開始した者など事業開始日の属する年の確定申告期限まで税務署
所得税の有価証券・暗号資産の評価方法の届出書事業所得の基因となる有価証券等を取得した場合取得した日の属する年分の確定申告期限税務署
課税事業者選択届出書課税事業者となるとき事業を開始した日の属する課税期間末日税務署
簡易課税制度選択届出書簡易課税制度を選択するとき事業を開始した日の属する課税期間税務署
源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請給与支給人員が常時~9人である源泉徴収義務者が、特例を受ける場合特になし
※提出日の翌月に支払う給与等から適用される
税務署
特別徴収税額の納期の特例に関する承認申請書給与の支払を受ける人数が常時~9人の事業主で一定の要件を満たす場合市区町村による自治体
e-Taxの開始(変更等)届出書電子申告や電子申請したい場合特になし税務署
利用者IDの利用届出(新規)電子申告や電子申請したい場合特になし自治体
ダイレクト納付利用届出書電子納税したい場合特になし税務署

使用ツール

紙面での提出以外の方法で提出する場合は以下の方法があります。

紙面提出

できれば電子で提出したいところですが、開業当初でばたばたしていて間に合わない場合など、紙面提出の方が確実かつ安心なシチュエーションもあります。

紙面提出する場合は、通常は、返信用封筒も同封して自分の控え用と提出用とで最低でも2部作成して提出します。

e-Taxソフト(WEB版)

以下があれば誰でも無料で利用できます。

  • PC
  • ネット環境
  • マイナンバーカード
  • スマホ

2024年5月現在、e-TaxのWEB版で電子で提出できるものを一部抜粋いたしました。

名称対応
所得税の青色申告承認申請書
消費税課税事業者選択届出書
消費税簡易課税制度選択届出書
ダイレクト納付利用届出書
適格請求書発行事業者の登録申請書
個人事業の開業・廃業等届出書×

PC desk(WEB版)

e-Taxは国税に関する届出などを行うツールですが、地方税の方は「PC desk(WEB版)」というものがあります。

2024年5月現在、このツールを介して提出できるものは以下の通りです。

名称対応
特別徴収義務者の所在地・名称変更届出書
事業所等新設・廃止申告書
税務代理権限証書
その他申請書(個人)
事業開始等申告書×

会計ソフト

freeeなどの会計ソフトを使用している場合、会計ソフトから届出書を提出できる場合もあります。

税務ソフト

様々な税務書類を作成・提出できるソフトですが、これは税理士が使うものですので、通常は事業者側で用意するものではありません。

税理士と顧問契約を締結した場合、ほとんどの税理士は、この税務ソフトを使用して顧客の申告や申請・届出をおこないます。

開業届出などを自分でおこなう

何か不足があった場合のリスクは自己責任になりますが、以下のような手段もあるので自走できる自信がある方は検討してみてはいかがでしょうか。

参考元情報

A1-8 所得税の青色申告承認申請手続|国税庁 (nta.go.jp)

A1-11 青色事業専従者給与に関する届出手続|国税庁 (nta.go.jp)

A1-9 所得税の青色申告承認申請(兼)現金主義の所得計算による旨の届出手続|国税庁 (nta.go.jp)

A1-18 所得税の棚卸資産の評価方法の届出手続|国税庁 (nta.go.jp)

A1-20 所得税の有価証券の評価方法の届出手続|国税庁 (nta.go.jp)

A2-8 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請|国税庁 (nta.go.jp)

特別区民税・都民税 特別徴収税額の納期の特例について | 中野区 (tokyo-nakano.lg.jp)

利用者IDの取得 | eLTAX 地方税ポータルシステム

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