消費税申告義務。2年前を考慮してるだけはNG。特定期間について

本コラムは以下のような方を対象としています。

  • インボイス制度開始に伴って消費税申告することになった方
  • 「消費税の納税義務は2年前の売上高を見る」ということは知っているという方
目次

2年前の売上が1,000万円以下でも納税義務が生じる

要約すると、2年前の課税売上高による判定の結果、消費税の納税義務なしとなっても、ある一定の期間(『特定期間』)の課税売上高などが一定ラインを超えると消費税の納税義務が生じるよ、というものです。

特定期間とは

個人事業主の場合

個人事業主の場合、課税期間は1/1-12/31です。『特定期間』は前年の1/1-6/30までの期間を指します。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二
 

(一部省略)
4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
 一 個人事業者 その年の前年一月一日から六月三十日までの期間
 二 (一部省略)

法人の場合

短期事業年度

以下のような事業年度のことを『短期事業年度』と呼びます。

  • その事業年度の前事業年度で7月以下であるもの
  • その事業年度の前事業年度(8月以上)で、「その前事業年度開始の日以後6月の期間の末日」の翌日から、「その前事業年度終了の日」までの期間が2月未満であるもの
  • その他一定の期間

例えば上記のようなケースは、前事業年度が7月以下なので『短期事業年度』ですが、

このようなケースは、前事業年度=短期事業年度ではない、ということです。

(短期事業年度の範囲等)
第二十条の五
 法第九条の二第四項第二号に規定する前事業年度から除かれる同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 一 その事業年度の前事業年度で七月以下であるもの
 二 その事業年度の前事業年度(七月以下であるものを除く。)で法第九条の二第四項第二号に規定する六月の期間の末日(当該六月の期間の末日が次条第一項各号に掲げる場合に該当するときは当該各号に定める日)の翌日から当該前事業年度終了の日までの期間が二月未満であるもの
(一部省略)

消費税法施行令より

前事業年度(短期事業年度以外)がある法人

その前事業年度開始の日以後6月の期間 = 特定期間 です。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二
 

(一部省略)
4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
 一 (一部省略)
 二 その事業年度の前事業年度(七月以下であるものその他の政令で定めるもの(次号において「短期事業年度」という。)を除く。)がある法人 当該前事業年度開始の日以後六月の期間
 三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)

前事業年度=短期事業年度である法人

前々事業年度=6月以下

「その前々事業年度開始の日」から「その終了の日」までの期間 = 特定期間 です。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二
 

(一部省略)
4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
 一 (一部省略)
 二 (一部省略)
 三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間

前々事業年度=6月超

その前々事業年度(基準期間に含まれているものを除く)開始の日以後6月の期間 = 特定期間 です。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二
 

(一部省略)
4 前三項に規定する特定期間とは、次の各号に掲げる事業者の区分に応じ当該各号に定める期間をいう。
 一 (一部省略)
 二 (一部省略)
 三 その事業年度の前事業年度が短期事業年度である法人 その事業年度の前々事業年度(その事業年度の基準期間に含まれるものその他の政令で定めるものを除く。)開始の日以後六月の期間(当該前々事業年度が六月以下の場合には、当該前々事業年度開始の日からその終了の日までの期間)

(短期事業年度の範囲等)
第二十条の五
 

(一部省略)
 法第九条の二第四項第三号に規定する前々事業年度から除かれる同号に規定する政令で定めるものは、次に掲げるものとする。
 一 その事業年度の前々事業年度で当該事業年度の基準期間に含まれるもの
 二 その事業年度の前々事業年度(六月以下であるものを除く。)で法第九条の二第四項第三号に規定する六月の期間の末日(当該六月の期間の末日が次条第二項各号に掲げる場合に該当するときは当該各号に定める日)の翌日から当該前々事業年度の翌事業年度終了の日までの期間が二月未満であるもの
 三 その事業年度の前々事業年度(六月以下であるものに限る。)でその翌事業年度が二月未満であるもの

納税義務の有無の判定

特定期間における課税売上高

1,000万円超える場合には消費税の納税義務ありとなります。

給与等の金額を使うこともできる

「特定期間中に支払った給与等の金額の合計額が1,000万円超かどうか」を判定基準とすることもできます。

つまり、特定期間における課税売上高が1,200万円だったとしても、特定期間中に支払った給与等の金額の合計額が900万円であれば、後者の金額を採用し、消費税の納税義務なしという結論になるケースもあります。

(前年又は前事業年度等における課税売上高による納税義務の免除の特例)
第九条の二
 

(一部省略)
3 国外事業者以外の事業者が第一項の規定を適用する場合においては、前項の規定にかかわらず、当該事業者が第一項の特定期間中に支払つた所得税法第二百三十一条第一項(給与等、退職手当等又は公的年金等の支払明細書)に規定する支払明細書に記載すべき同項の給与等の金額に相当するものとして財務省令で定めるものの合計額をもつて、第一項の特定期間における課税売上高とすることができる

(一部省略)

なお、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかの判定については、課税売上高に代えて、特定期間中に支払った給与等の金額により判定することもできますので、特定期間の課税売上高が1,000万円を超えていても、給与等支払額が1,000万円を超えていなければ、給与等支払額により免税事業者と判定することができます。

(一部省略)

特定期間の課税売上高による免税事業者の判定|国税庁

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