合同会社を使いこなす。社員や設立するメリットなどを税理士が解説

本コラムは以下のような方を対象としています。

  • 合同会社と株式会社で迷っている
  • 専門性の高い業種で法人設立を考えている方
  • 人的資本が重要になる業種(例:ITエンジニア、美容院、飲食店、クリーニング屋)で法人設立しようとしている方
  • 上場する予定はないという事業者
  • 「合同会社の『社員』って?」という方

合同会社は株式会社より比較的安価で設立することができます。他にも小回りがきいたりといったメリットも。

目次

合同会社(GK)

小回りがきく会社形態

一般的にたとえば以下のようなビジネスを想定している場合は、株式会社よりも合同会社の方が良いとされています。

  • 会社として機動力を重視する、煩雑な手続きをできるだけ減らしたい
  • 1人事業者として活動が可能なビジネス(例:飲食店、クリーニング屋、ITエンジニア、美容院)
  • 上場する予定はない(巨額の資本は不要)
  • 特定の専門分野に特化したビジネス

大手も合同会社

会社設立というと株式会社の方が認知度が高いですが、AppleやGoogle、Amazonも日本法人は合同会社です。

おそらく、これらのグローバル企業本社からすれば日本に所在しているのは子会社なので、日本子会社に親会社の意向に沿ったスピーディな動き方をさせることができるという点が、合同会社という会社形態になじんでいるのではないかと思います。

対外的な信用力でいえば一般的には 合同会社<株式会社 ですが、これらのグローバル企業の場合、そもそもブランドが絶大なので会社形態で信用力稼ぎをしなくても良いという理由もあるかもしれません。

略し方

なお、合同会社のことを「GK(Goudou Kaisha)」という略し方をすることもあります。

「何だそりゃ笑」と思うかもしれませんが本当です。ちなみに株式会社を「KK」、特定目的会社を「TMK」と呼んだりもします。

株式会社との違い

スクロールできます
項目合同会社株式会社
対外的な信用力相対的に低い相対的に高い
諸費用約10万円~約25万円~
設立に係る手続き期間約5日程度約10日程度
「所有」と「経営」一致分離
出資者の呼称『社員』『株主』
利益配分任意出資比率
役員の任期制限なし最長10年
株式公開できないできる

社員≠従業員

合同会社の場合、出資者のことを「社員」と呼びますがこれは一般的にイメージされるような「従業員」(営業マンや経理スタッフなど)のことではありません。

社員=出資者兼経営者 です。

任期

変更登記の必要がない

株式会社の場合、取締役には最長10年の任期があります。任期満了すると変更登記が必要になり、その際お金がかかります

合同会社の場合は、業務執行社員に任期はありません。

みなし解散

ちなみに、株式会社の場合でたとえば10年経過したが本来すべきだった役員変更の登記を忘れ、そのまま最後の登記から12年を経過してしまい、一定の届出をしなかった場合、実際には事業を継続していたとしても「みなし解散の登記」がされてしまいます。

これは税務上も影響を受けます。

つまり、事業年度が月末ではない変なところで強制的に区切られてしまうので、関係者だれも想定していなかった決算作業が急に発生し、忙殺される、時間がない中で決算を行うことになり税務リスクが増大する、特急対応が求められるため税理士報酬が増大する、といったリスクがあります。

その他合同会社の特徴

定款への記載

申告期限の延長

合同会社で法人税等の確定申告期限を延長したい場合、株式会社より少し気を付けなければならないことがあります。

以下コラムで触れています。

計算書類が株式会社と異なる

株式会社の場合、貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書という呼び方ですが、合同会社の場合、3つ目が「社員資本等変動計算書」になります。

(各事業年度に係る計算書類)
第七十一条
 法第六百十七条第二項に規定する法務省令で定めるものは、次の各号に掲げる持分会社の区分に応じ、当該各号に定めるものとする。
 合名会社及び合資会社 当該合名会社及び合資会社が損益計算書、社員資本等変動計算書又は個別注記表の全部又は一部をこの編の規定に従い作成するものと定めた場合におけるこの編の規定に従い作成される損益計算書、社員資本等変動計算書又は個別注記表
 合同会社 この編の規定に従い作成される損益計算書、社員資本等変動計算書及び個別注記表

会社計算規則 より抜粋

事業年度の区切り方

解散したとき、事業年度の区切り方が株式会社と異なります。

このあたりはテクニカルな内容で解散しなければ出てこない話なので割愛しますが、合同会社の方が事業年度の数が増える(申告回数が増えて税理士報酬が増大)可能性があるという点だけ頭の片隅にいれておいて頂ければと思います。

印象は悪い?

主観的な意見なので以下、話半分にご一読下さい。

一般論として「合同会社に対して良い印象を持っていない人」もいます。

たとえば取引先になりうる相手方から「合同会社か…。ってことは何かの副業で片手間にやっているビジネスのかな」のように、「合同会社だから」という事実をもって何か勘繰られてしまうこともあるかもしれません。

法的に認められている立派な会社形態ですが、そのことと一定の人たちから受け取られる印象とは別の話ですので、そういうこともあるかもしれないという点は念頭に入れておきましょう。

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