【2026年8月最新】国税庁のAI活用で税務調査はどうなる?税理士が解説。

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目次

国税庁におけるAI活用の全体像

予測AIの位置付け

国税庁は令和8年7月、「国税庁におけるAIの活用」と題する資料を公表しました。同庁は予測AIと生成AIの2種類を、それぞれの強みに応じて使い分けています。

予測AIは、既知のデータをもとに将来の数値や状態といった未知の事象を予測することに強みを持つAIです。国税庁では、申告漏れの可能性が高い納税者の判定などに活用されています。

生成AIの位置付け

生成AIは、文書や画像などの新しいコンテンツの生成、会話機能に強みを持つAIです。

令和7年12月に「AI基本計画」が閣議決定されたことを踏まえ、国税庁は職員の業務効率化、課税・徴収事務の効率化・高度化、納税者サービスの向上に生成AIを活用する方針を示しています。あわせて、セキュリティやハルシネーションといったリスクへの留意も明記されています。

予測AIによる課税事務の効率化

申告漏れリスクのスコア化

国税庁は、保有する申告・決算情報や法定調書などの資料情報、過去の調査事績といった膨大なデータを予測AIで分析し、各税目における申告漏れのリスクを判定してスコア化する予測モデルを構築しています。

この判定結果は、申告書や各種資料情報とあわせて職員が分析・検討したうえで、調査の要否や優先度を最終的に判断する材料として使われます。判定結果は全国すべての国税局・税務署で活用されています。

参考として、令和6事務年度の追徴税額は、所得税の調査等で1,431億円(過去最高)、法人に対する調査等で3,672億円(直近10年で最高)、相続税の調査等で962億円(簡易な接触の事績の公表を始めた平成28事務年度以降で最高)となっています。

ただし、調査対象のすべてが予測モデルを活用した事案ではない点が注記されています。

不正還付・不正パターン判定

申告漏れリスクの判定以外にも、多様な観点に特化した予測モデルが構築されています。例えば、所得税申告の不正還付リスクを判定するモデルや、法人の不正申告のパターン(売上、経費、原価など)を判定するモデルがあり、それぞれの判定結果が全国の国税局・税務署で活用されています。

いずれのモデルも、判定結果の活用にあたっては申告内容や資料情報を職員が併せて分析・検討し、最終的な判断は必ず職員が行うとされています。

なお、令和8年9月の国税システム更改により、従来書面で管理していた情報のデータ化が進み、データで管理する情報が増加する見込みです。

これを踏まえ、予測モデルの精度向上など、AI・データ活用の更なる高度化が図られる予定です。

予測AI・生成AIによる徴収事務の効率化

接触方法・応答予測モデル

徴収事務では、滞納者の過去の接触事績、申告書データ、業種などの情報をもとに、電話・臨場・文書のうち接触できる可能性の高い方法を予測するモデルと、曜日・時間帯ごとの応答可能性を予測するモデルが構築されています。

これらの予測結果は全国の国税局・税務署における滞納整理に活用されており、集中電話催告センター室では、応答予測を活用した架電1,148千者のうち約8割が完納または納付誓約に至ったとされています(令和7年7月~令和8年6月の実績)。

整理事績の要約による効率化

滞納の整理促進を目的として、生成AIにより滞納者別の整理事績を要約する取組も進められています。要約データは、優先着手事案の選定事務や、担当者変更時の引継事務などで活用され、これらの事務の効率化につなげることが目指されています。

なお、この取組は納税者情報の流出防止のための措置を講じたセキュアな環境で実施されています。

業務効率化に向けた生成AI環境整備

独自生成AI利用環境の構築

政府職員が利用可能な生成AI環境として、デジタル庁がガバメントAI「源内(げんない)」を整備しています。

国税庁では、調査・徴収事務で利用可能なセキュアな環境が必要であることから、「源内」を基にした独自の生成AI利用環境を令和8年度中に構築し、業務利用を開始する予定です。

想定ユースケース

現時点で想定されているユースケースとして、データ加工、翻訳、文書作成・要約、情報収集・分析、アイデアの検討・壁打ち、法令・判例等の検索が挙げられています。

データ加工では、収集先によってフォーマットや表記が異なるデータを統一的な形にクレンジング・加工することで、その後の分析の効率化を図るとされています。翻訳では、調査等で入手した外国語の書類について、専門用語や文脈を踏まえた日本語への翻訳と、重要部分の要約をあわせて作成することで、機動的な調査の実施につなげるとされています。なお、生成AIの出力内容を業務で利用する際は、内容に問題がないか必ず職員が確認することとされています。

納税者サービスにおける生成AIチャットボット構想

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国税庁は、納税者が税に関する情報にアクセスしやすい環境の整備に向けた検討も進めています。

具体的には、国税庁ホームページ上の情報をもとに生成AIが回答するチャットボットを構築し、納税者との対話を通じて分かりやすい情報提供を行う方向性が示されています。

従来のシナリオ型チャットボットは、あらかじめ用意された質問の選択肢から選ぶ形式であり、該当する選択肢がない場合は表現を変えて質問し直す必要がありました。これに対し、生成AI型チャットボットは、日常的な言葉や曖昧な表現からも質問の意図を理解し、国税庁ホームページの情報をもとに一般的な内容を分かりやすく回答するとともに、前の会話内容を引き継いだ対話が可能とされています。

また、質問・回答の事績を蓄積・分析し、回答精度の向上に活用するとされています。実現にあたっては、ハルシネーションなど生成AI固有のリスクを踏まえた対策を講じるとされています。

FAQ

国税庁の予測AIは、税務調査の対象者を自動で決定するのですか。

いいえ。予測AIはリスクのスコア化や不正パターンの判定を行いますが、調査の要否や優先度、対象者の最終判断は職員が行うとされています。

これにより、従来よりも短期間で、かつ、より高精度で調査対象を選定することができるようになると予想されます。

生成AIが出した回答や加工結果は、そのまま業務に使われるのですか。

資料では、生成AIの出力内容を業務で利用する際は、内容に問題がないか必ず職員が確認することとされています。

国税庁独自の生成AI利用環境はいつ整備されますか。

令和8年度中に構築し、業務利用を開始する予定とされています。

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この記事を書いた人

澁谷 修平のアバター 澁谷 修平 税理士

■事務所概要■
【名称】澁谷税理士事務所
【取扱業務】税務、会計、経理体制構築支援、クラウド会計導入支援、電子帳簿保存法対応支援、創業支援、資金繰り支援、政治資金監査
【サービス提供地域】東京及び埼玉、千葉、神奈川を中心としてオンラインにて全国対応
【インボイス登録番号】T8810003064837
【取引金融機関】日本政策金融公庫、GMOあおぞらネット銀行

■資格・認定■
税理士(登録番号150781)
政治資金監査人(登録番号6390)
マネーフォワードクラウド公認メンバー
マネーフォワードクラウド経理財務領域マスター検定
マネーフォワードクラウド会計アドバンスド検定
マネーフォワードクラウド請求書検定
マネーフォワードクラウド経費検定
GMOあおぞらネット銀行創業支援パートナー

■所属■
東京税理士会
東京商工会議所
稲門会

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