マネーフォワードを使えば税理士は不要?税務顧問があった方が良い理由

弊所・澁谷税理士事務所は、主に渋谷・新宿・池袋・練馬など首都圏西側地域の事業者様からご相談頂くことが多い練馬駅に近い事務所で、マネーフォワードクラウドをメインで扱っております。ITツールをフル活用し、ペーパーレス・キャッシュレスをベースにサービス展開しております。

税理士が「税理士がいた方が良い理由」を語るとポジショントークになってしまいますが、我流で進めてあとで修正申告が必要になった、なんてことになったりすると事務負担も修正申告のためのコストも増大してしまいます(誤りの内容があまりにも混沌とした状態だとそもそも修正申告を引き受け可能な税理士が見つからないことも…)。

本コラムではご自身で記帳していても税理士チェックはあった方が良い理由を解説しています。

目次

本コラムの対象者

  • クラウド会計を始めて導入する予定の方
  • ご自身で記帳している方 or するつもりの方
  • マネーフォワードクラウドユーザーの方
  • ITに抵抗が無い方

クラウド会計を使うと…

2工程ある

クラウド会計 ペーパーレス キャッシュレス 税理士
青が手作業、赤が自動化

右側の枠がクラウド会計のシステム内だとイメージしてください。

要点としては以下の2ステップに分かれているという点です。

①取込み・インポート

②記帳

クラウド会計を使いこなせば①については自動化されます。が、②において専門知識を用いたチェックが必要になります。

まれに誤解されている方がいますが、「①が完了した状態」=「記帳完了」ではなく、「①②が完了した状態」=「記帳完了」です。

結論として、②のために税理士によるチェックは必要となります。

自動仕訳機能

クラウド会計には、自動仕訳機能というものがあり、ソフトに対して正しく指示(設定)を出していれば、自動で仕訳が計上されます。つまり②もある程度は自動化できるということです。

ただ、この指示(設定)は定期的にメンテナンスをする必要があります。誤ったままの状態だと誤った仕訳が自動で計上されてしまうためです。

このメンテナンスにも結局専門知識を用いたチェックが必要になるので、単純に、マネーフォワードクラウド導入=税理士によるチェック不要 とはならないものだとご理解下さい。

会計と税務

「事実関係の整理」は、誰とどういう取引条件で、いくらで何をやり取りしたのか、などの情報を、根拠となる証拠資料に基づいて整理することです。

「税務」というと、「確定申告書の作成」(いちばん右)を真っ先にイメージすると思いますが、実際には税務に関する検討は、真ん中の「仕訳の計上」の時点で同時におこなうことが多いです。

つまり、日々の取引を会計目線だけでなく税務の目線でチェックしなければ思わぬ落とし穴にはまるかもしれません。

この「税務の目線」がどのようなことを指しているのか、以下で例を挙げます。

例1

ケース

ビルの管理会社が、テナントから共益費を毎月定額で受領しており、そのお金を使ってそのビルの水光熱費や清掃代などを支払うとします。

会計

スクロールできます
借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
普通預金550,000預り金550,000

税務の視点を一切無視するのであれば、テナントからお金を受け取ったときこのような仕訳でも良いかもしれません。

水光熱費などを支払うときは以下のようにします。

スクロールできます
借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
預り金440,000普通預金440,000
実際に要した金額の方が少なかったと仮定

税務

スクロールできます
借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
普通預金550,000賃料収入(共益費)課税10%550,000

しかし、消費税法上はこれは課税売上です。そのため上記のようにしなければなりません。

「これは消費税法上は課税売上だな」と気付けるかどうか、です。単に記帳ができるだけでは税務の視点が欠けている決算書(会計書類)ができてしまいます。

その決算書に基づいて確定申告書作成をすると、誤った前提からは誤った結論しか出てこないため、申告自体も間違うこととなります。

例2

ケース

主要な取引先を接待したとします。

会計

スクロールできます
借方科目消費税借方金額貸方科目消費税貸方金額
接待交際費課税10%220,000未払金220,000

接待したときにお店などから受け取った領収書や予約表などの証拠資料と突合し、たしかに存在した取引であることが確認できれば、会計上は上記の仕訳で問題ないでしょう。

税務

会計処理自体はそのままで良くても、税務の目線からは、たとえば以下のようなチェックが必要です。そしてチェック結果を数か月後の確定申告に備えて管理しておく必要があります。

  • 法人税法上の『飲食費』に該当するか?(辞書的な意味ではなく)
  • 法人税法上の『交際費等』に該当するか?(辞書的な意味ではなく)
  • 法人税法上の『接待飲食費』に該当するか?(辞書的な意味ではなく)
  • 参加者1人当たりの支出額はいくらか?

こういう項目は税法を理解していなければチェックすることはできません。

例3

以下のコラムで紹介しているケースも同様です。会計(簿記)の知識だけでは仕訳を作ることができない例です。

税務目線が無い場合、単に「雑収入」に計上して終わり、としてしまうリスクがあります。

例4

こちらも消費税法を理解していなければ会計処理が作れない例です。

税務の視点(どのような取引が税法上の「対価の返還等」に該当するのか)が無ければ誤った会計処理を計上してしまうリスクがあります。

例5

最近様々なが業種で業務委託スキームが流行っていますが、これも導入時に税務上の論点を洗い出しておかなければあとあと痛い目を見る可能性があります。

導入するときに税理士を探し始めるのでは遅いので、導入検討段階で顧問税理士に相談すべき内容です。

例6

事業で使用する資産を売却したりなど、数年に1回はあると思いますが、そのような場合も「税務の視点」が大切です。

会計ができているだけではNG

以上のように、ご自身では「記帳ができている」「同じ取引しか出てこないから会計処理を作るのも簡単」と思っていても、実際には税務の視点では誤った会計処理を計上してしまっている、という危険があります。

普段からこのような「税務の目線(一般的に『税務会計』と呼ばれます)によるチェック」を行えるのが、税務顧問というものの役割の1つであると言えるかと思います。

参考元情報

テナントから領収するビルの共益費|国税庁 (nta.go.jp)

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