経理担当者が知っておくべき論点。債務確定の要件の解説

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法人税法上、損金(≒税務上認められる経費)として認めれられるかどうかに関しては要件があり、その要件を充足しない場合は「未確定債務」として損金不算入(=所得に加算する)となります。

目次

本コラムの対象者

  • 1人社長で自分で記帳している方
  • 個人事業を始めたばかりで自分で記帳している方
  • 中小企業の経理担当者

3要件

以下の3つの要件全てを充足した場合に 債務確定=損金算入OK とされます。

2-2-12 法第22条第3項第2号《損金の額に算入される販売費等》の償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務が確定しているものとは、別に定めるものを除き、次に掲げる要件の全てに該当するものとする。(一部省略)

(1) 当該事業年度終了の日までに当該費用に係る債務が成立していること。

(2) 当該事業年度終了の日までに当該債務に基づいて具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。

(3) 当該事業年度終了の日までにその金額を合理的に算定することができるものであること。

法人税基本通達 より抜粋

債務の成立

契約等によってその債務が明らかになっている場合などを意味します。

「エアコンの修理」というサービスを申し込んだ場合、何かしらの合意書のようなものが取り交わされると思いますが、その合意書等によって「エアコン修理に対して〇〇円支払う」という債務が成立します。

必ずしも契約を締結しなければならないわけではないと考えられますが、発注者と受注者の互いの立場をオフィシャルに明確にするため契約を締結する方が望ましいです(後で言った言わないの話にならないようにするためにも)。

原因事実の発生

支払う側がお金を支払うべき事実が生じている状態を意味します。

エアコン修理の例で言えば、「具体的な給付をすべき原因事実」=「エアコン修理完了」と考えられます。

修理が終わったのであとはその分の代金を支払ってね、という状態です。

逆に言えば、修理が未完了であればそれは債務が確定していない(=損金不算入)、ということになります。

金額の合理的算定

これは契約を締結していれば問題なく満たせる要件かと思います。

証拠資料を保管しておく

この3要件は充足していると自分で主観的に判断するものではなく、3要件を満たしていることを客観的に説明できるような証拠資料で示さなければなりません。

発注先が発行した請求書や領収書、業務完了報告書などの資料が証拠資料となりますので大切に保管しておいてください。

期末月は注意

3月決算の場合、自分が発注した取引に関して、3月31日時点でそれが債務確定しているのかどうかを確認することが必須です。

債務確定していない場合は申告書上でその金額を調整する必要があります。

エアコン修理の例で言えば、3月28日にエアコン修理が完了した場合、その証拠となる書類(業務の完了報告書など)を修理業者から受領しておきます。

クレジットカード決済で支払時期は4月であったとしても、前述の3要件を満たしているのであれば「確定した債務」として法人税法上損金算入ができます。

逆に支払い済みであっても、前述の3要件を満たしていないのであれば「未確定債務」ですので、会計上費用計上してしまっている場合は、申告書上で加算調整(=否認)する必要があります。

その他参考コラム

個々の取引に関しての判断

債務確定については以上の通りです。

しかし、個々の取引ごとに、この3要件が満たされたどうかを判断しなければなりませんが、それが難しいケースも多々あります。

このような、「日々の税務上の論点の管理」を手伝ってもらえるという点が、税務顧問を依頼する意味でもあります。

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